紅の十字架

□死神の出現
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「…絶体絶命ってとこかァ?アレン・ウォーカー♪」


「ピンチか?少〜年☆」


槍を奮ってアレンと戦っていた男の間合いを開かせるとティキは男の顔を鷲掴み地面に叩きつけた


「らぁッ!」


「ハッ、やっと姿を見せたなァ」


「少年を教団に戻した甲斐があったな
七千年、七千年だ。ついに、見つけた!!」


「(呑み込まれつつあるな、ジョイド…)」


「ん゛〜〜、ん゛ん〜〜〜っ」


「プハッ。あっ、アレン!!」


ティキの背中にいたロードはぬいぐるみの姿から元の姿に戻る
息を乱しているアレンを一瞥したカルテは小さく舌打ちをした


「……おいおい、この様子じゃァ、接触したかァ?」

「大丈夫、アレン!?」


「落ち着けよォ、アレン・ウォーカー」


カルテは頭を撫で、ロードはアレンを抱き締めて落ち着かせる


「(少年がまったくオレらにツッコんでこねぇ…!そーとー、パニクッてるな。カルテの言ってたのはこれか)」


「ノアか…まったく、友達の家じゃないんだから、気楽に入ってこないでほしいね」


「!あ…こっ、この気配……!?イノセンス…適合者!?」


「こいつは、人間でも適合者でもない。《ハート》を護る為だけに存在する、自立型イノセンス」


「千年公は《隠されたもの(アポクリフォス)》と呼んでるやつだァ
ついに見つけたぜェ」


「七千年間、ずっと探し求めてた、《ハート》の手掛かりッ」


「《手掛かり》?否、ワタシという存在はノアにとって死神に等しいのだよ」


「ティーズを粉々にしたか…。やっぱり、二人がかりで行くしかないみてェ
ジョイド、共闘だァ」


「そうするしかねぇな」


ティキがアポクリフォスとの間合いを詰めていくとカルテは槍を二本に増やす


「ハッ、まんまと誘き出されといてマヌケな死神だな!」


「てめぇにあいつらを渡すつもりはねぇぜェ?ここで殺してやるよ!」


ティキが右足で蹴りを入れてカルテが槍の柄で遠心力を利用しながら吹き飛ばす
しかし攻撃はそこで止むことはなく、ティキの右手がアポクリフォスに添えられる


「かああっ!」


「…当たってねェ。!ジョイド、後ろだ!」


「!」


地面から現れたアポクリフォスがティキの頭に膝蹴りを食らわせるとティキは壁へと叩きつけられる
反撃を試みるもアポクリフォスがティキを壁から離さないように押し付けた


「ジョイド!……っくそっ!」


ティキを助けようとするカルテだが彼女の足元には蔓のようなものが巻き付いていた


「鬱陶しいイノセンス野郎が…っ、薙ぎ払ってやるよォ!」


槍で振り払おうとするも、刃の部分が蔦を通ることはなかった


「何!」


「今まで破壊してきた不熟なイノセンスと同じだと思うな」


「……っ、コイツ……ッ」


パキンっ!


「なっ……っ」


「おまえが…ッ、おまえが師匠を殺したのか!?」


「アレン!アポクリフォスに近づいちゃダメ!」


「見たんだ!師匠にジャッジメントをつきつけてた!」


「……ああ、そうか。侵蝕しようとした際にワタシの内部が覗けてしまったんだね
おまえは寄生型だし、長年の影響もあるから…」


「何を、言ってる…ッ!」


「でも大丈夫。すぐ消去してあげよう
アレン、あの男は《14番目》の為におまえを犠牲にしようとしていたんだ」


アポクリフォスがそう告げるとアレンの左腕が奇妙な形に変化する


「どうした、クラウン・クラウン!?」


「イノセンスでワタシを傷つけることはできない
クラウン・クラウンも望んでいるのだよ、アレンの為に、ワタシとの合体をね!!
そうすれば、もっと強靭な力で《14番目》の記憶(メモリー)を圧さえられる

ワタシはおまえを助けようとしているんだよ、アレン」


「アレン・ウォーカー、てめえの師匠は誰だァ!!」


「!そうだ…僕は、クロス・マリアンの弟子だよ…?
反吐がでるね、お前との合体なんか!!」


「反吐、だと?

アレェェェン!」


ハッと嘲笑うアレンにアポクリフォスは激昂して攻撃をしようとするが間にロードが割って入る


「やめろ、ロードッ!!」


「!!」


「ロード!?」


「第9使徒か…ッ」


「(少し体に負担が掛かるが……仕方ねぇ…)」


槍を交差させると大振りの剣になる。それを弧を描くように振ると足に巻き付いた蔦を薙ぎ払った


「逃げろぉッ!!」


「げっ!まじかよォ!」


大きくなったティムキャンピーの拘束が解かれてリンクの炎羽の火力によって教団から空へと押し上げられる
カルテとティキはティムキャンピーを捕まえる


「は〜っ、ビックリしたぁ!!」


「ふたり共、大丈夫かァ?」


カルテが訊ねるとティムキャンピーの口から微かにアレンとロードの姿を確認した


「やべぇな、ロードの意識が無いらしいぜェ…とりあえずどこかに降りるかァ?
教団にはあの音速のエクソシストがいるぜェ?」


「そうだな」



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