紅の十字架

□小さな嫉妬
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「元帥共は助からねェ!!」


神田は同じ部隊であるマリとデイシャと共にアクマを破壊していた
その表情は明らかに苛立ちが表れている


「ノアとアクマが大軍で奴らを追いかけてるんだぜ
お前らがこうしてアクマ(オレ)を壊してる内にも……」


──ドンッ


「うるせェ」


アクマを六幻で破壊すると近くに立っていたマリが神田に声をかけた


「行くぞ、神田」


「まったくジャマじゃん
次から次へと襲ってきやがってちっとも進めやしない」


「オレ達を足留めしてェんだろ」


「元帥に辿り着くだけでも一苦労だな」


マリの一言に神田は小さく舌打ちをした


「なんだ?イライラしてるのか、神田」


「してねェ!」


「しっかし、いつになったら辿り着くのかねェ
オレ達の捜すティエドール元帥はもう、この街にゃいねェみたいじゃん
まったく、足が早いっつーか鉄砲玉っつーか」


「どうせ、どこかで絵でも描いているんだろう」


「まったくオレらも変な師を持っちまったなあ、神田」


「俺はあのオヤジが大っ嫌いだ」


「(だから、機嫌悪いんだぁ)」


「ま…クロス元帥よりはマシじゃん…」


「アイツも嫌いなんだよ。つーか、なんで恭弥がクロス部隊なんだよ、あ?」


「…恭弥はクロスに会った数少ない一人だから仕方ないな」


「チッ」


眉間に皺を寄せながら神田達は自分達の師であるティエドールを捜しを再開した








「くしゅっ!」


「雲雀、風邪か?」


「違うと思う」


「噂じゃない?神田が恭弥君と別部隊になったことに苛立ってたりしたりして」


「へ?恭弥とユウってなんか関係あんの?」


「……ユウって言った?」


「ら、ラビ…恭弥の前で神田のファーストネームは禁句ですよ!」


アレンが慌てて制止の声をかけるが時既に遅し。微かに怒りのマークを浮かべて返した


「別に。神田が誰になんて呼ばせようと僕には関係ないし。誰が神田の名前をどう呼ぼうが関係ないしね」


「(怒ってるわ…)ラビ、恭弥君と神田は付き合ってるの
だから、ね?」


「えっ、じゃあ恭弥とユ…神田は、恋人ってことさ?んじゃ、なんでコムイは別部隊にしたんだ?」


「…きっと師匠と2年前に会ったからです。なんかすみません…」


「まったくだよ。なんであの飲んだくれを捜しにいかなきゃならないんだ
まだ借金返済しきってないのに」


「すみません……」


「……ちょっと電話してくる」


「いってらっしゃい」


雲雀はその場から去りゴーレムを電話機に繋げる


《誰だ》


「僕」


《どうした》


「……ねぇ、ラビにファーストネームで呼ばせてるの?」


《違ェよ。あの兎が勝手に呼んでんだ
……嫉妬か?》


「違う」


《素直になれよ》


「違うって言ってるでしょ、パッツン!」


《なっ…!パッツン言うんじゃねェ!》


「煩い!僕だってそっちに行きたいんだよ、馬鹿ぁ…」


《……泣くなよ》


「泣いてない…!」


《こっちが終わったらそっちに行ってやるから》


「…遅くなったら、承知しないから」


《分かってる。》


【恭弥ー!汽車に乗り遅れますよー!】


《……おい》


「あれもアレン・ウォーカーが勝手に言ってるだけ」


《次あったら覚えてろ》


ブツッ、と音を立てて通信が切れると雲雀はフッと微笑んでから汽車へと向かう


「……素直じゃないのはどっちなんだい……まったく」



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