紅の十字架

□黒の教団のピンチ
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【外は嵐

本部内は死霊の山…じゃなく、コムイ室長が作った対残業用ウイルス、《コムビタンD》に感染し、亡者と化した団員で溢れていた

これにより止まってしまった引っ越しを残業を再開させるべく、我々はコムビタンDの原液を接種した感染源を捕獲し抗体を作り出すこととなった
ちなみに、この事態の元凶である当の本人に反省の色はまったくナシ

コムイ室長への厳しい処罰を強く求む

報告者、ハワード・リ…
ばくん!


書いていた手帳をコムリンEXに食べられてしまったリンク
その他の人間は教団内の廊下の悲惨な様子を窓から見下ろしていた


「あちこちにいすぎ…何あれ怖い」


「これはマジで生存者は俺達だけかもな」


「イヤだから死んでませんって」


「大体感染源なんてどうやって見つけるんですか室長」


「こんな中で教団内を探すなんて無理だよ……」


一人にでも見つかったら最後、感染した全ての人間が襲ってくるだろう
質問をコムイへとぶつけるが……


「どうってまあ、第六感とか?」


「《とか》っ?」


「もしくは超感覚的知覚ESPとかベテラン刑事が行き詰まった時に最終的にアテにするアレとか?」


「ようするに勘って言いたいんでしょうか?」


「はぁ?何も手掛かりはねェのかよっ、何も!?」


「ニャニィ!?」


「あったらホントいいのにね…」


はぁ…とため息をつくコムイに神田は食って掛かろうとする


「お前ホントいっぺん死なせてやる」


「その髪の毛全部毟りとってやる!」


「GOと言いたいのは山々なんだが、待ってくれ神田、恭弥」


それを泣きながらリーバーが神田をかっちりホールドし、ラビが雲雀の足を掴んで必死に止める
そこから、コムイとリーバー達科学班との責任の押し付け合いが始まる


「大体さー、こんなことになったのはボクのコムビタンDを隠したリーバーくん達のずさんな管理のせいじゃないか
ボクばっか責めないでよ」


──ブチィィッ


「あ…あんた、こっちの苦労も知らんでよくもまぁ、イケしゃあしゃあと…」


「班長ストップ!落ち着いて」


「今日という今日はその巻き毛をむしりとってやる!」


「耐えて!班長!」


「お前がキレたら誰がこの場をまとめるんさ!」


「…………。……っ」


リーバーとコムイの口論をする一方で、アレンはぐるぐると遠くなる意識を何とか保っている状態だった


「(これは…もしや…体が…おかしいような気が…)」


「アレン?どうかした?」


「イヤ、実ハ…」


「えっ?あっ、そういえばアレン、噛まれてたんだっけ!」


「いやだ…っ、あんなヨダレ、ダラッダラの亡者になるなんてプライドが許さない…!」


「元気だしなよ、抗体さえ手に入れば助かるさ」


「そうかな…?」


「そうさ!」


「そうかしら」


「「は?かしら?」」


ガッシャーンッッ!

ドォオン!


「わるいこはーいねがーッ!」


「わわっ」


行き成り背後の窓のガラスが割れ何処かの方言口調で叫ぶ何かが、アレンに襲い掛かった
突然の攻撃にエクソシストとしての常形反射であるイノセンスを瞬時に発動させてしまったアレン


「う…っ」


「チッ」


窓ガラスを割り飛び込んできたのは、コムビタンDに感染したソカロ
その姿はまさに怪獣


「くっくっくっくっくっ」


「!!ゲッ」


「げっ」


「ソカロ元帥!?なんで裸ッ」


風呂に入っていた最中に感染したらしく、腰にタオルを一枚巻いた状態だった



「逃がさねェぜぇ獲物ちゃぁ〜ん♪」


「元帥まで感染したんさ!?」


「最悪だ…」


「まだ最悪とまではいかないよ…クロスいなくてよかったぁぁぁ!」


「そっちか!」


「うわぁあああ!」


「ニ゛ャ────ッ」


「おや〜?てっきり、ユーくんかきょーくんかと思ったのに…

湯気でメガネが曇っちゃったかな?」


「師匠ぉぉぉぉっ!?
嫌だ嫌だ師匠にだけは捕まりたくないぃぃぃ!」


リンクの叫び声とブックマンの悲鳴が聴こえ、そちらを見ると気を失ったリンクブックマン。そしてタオル一枚のティエドールとクラウドが立っていた

雲雀はティエドールを見た瞬間に逃げるように神田を思いきり抱き締める


「ボルテージ上がりまくって仕方ねェんだよ
熱冷ましに、殺らせてくれや!」


「(厄日だ)」


ソカロの相手をするアレン。しかし、マスクを取った怪獣のような彼に勝てるわけがなく……


「ウラララララ死ね死ね死ね死ねぇえ──!」


「あの戦闘民族につかまるなんて、不運な子だ
さて…キミ達も覚悟してもらうよ」


「一緒に逝こう…」


「む、無理ぃ…ユ…ッ、ひぐっ、」


「泣くな!お前は俺が守ってやる!
だからもう少し頑張れ!」


「ふ…っ、うん……、頑張る…っ」


限界が来たのか泣き崩れる雲雀の頬をペチペチと叩きながら神田は宥める


「おい!六幻の修理はもう終わってんだろ、返せ!!」


「終わっちゃいるが、まだ科学班フロアの研究室にあるんだよ」


「ええ────っ!オレらそんなんばっか!」


「そこならボクがコムリンと逃げてくる途中で寄ってきたよ!」


「マジですか!エライ!めずらしく」


「じゃあ早く六幻を…「勿論さ!取ってきたかったけど、すでに亡者の山で則Uターン…」


「寄っただけかよ!」


あっさり親指を立てるコムイに神田は思いきり頭を叩いた
その間にもティエドールとクラウドの攻撃が始まる


「もうやだぁ……」


「なんとかしてーっ!コムリンEX!」


コムイの叫び声にコムリンが了解、と言ったところでミサイルが発射される
しかしそれは、ゾンビ化になったものに当たるのではなく、アレンや雲雀に向かって放たれる




「ぎゃあぁあああ!」




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