紅の十字架
□黒の教団のピンチ
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バチッと暗闇に包まれた部屋
本部全体が突然停電したことにガヤガヤとどよめきが起こる中、科学班の部屋にいる者達は自然と部屋の中央に集まっていた
──ヒヒヒヒヒ……
──ヒヒヒヒ…
そして何処からか聴こえてくる女性の不気味な笑い声に各々の反応を見せていた
おばけ…っと、ミランダはガクガク震えリナリーの手を握り、アレンとラビは見るからに震えながら、まさかっ、返すその声すら震えている
「コムイの悪ふざけだろ」
「ユウ、無理ぃ…っ」
「あ?…そういや…」
神田は平然と言って退けていたがガタガタと震える雲雀を見上げながらある出来事を思い出した
「(そういや、お化けや幽霊の類いは苦手だったな…こいつ)」
「きょきょ恭弥、ここ怖がってるさ?」
「う、うるさい……っ、倒せないものは無理なんだよ、バカラビ!」
「大丈夫だ。ただのコムイの悪ふざ…」
「しっ、静かに!」
その中で音の正体を探っていたマリが違和感に気づき、全員を黙らせた
「声とは別に何か音がする!」
「嫌々いやぁぁ……っ、マリ、怖いこと言わないでぇ…っ」
「近づいてくる…」
マリは科学班の扉を見るとギイィと軋む音がして扉を開くと、フラフラと現れたのは──……
「ふ、婦長?」
「婦長、驚かさないでよ…!」
暗すぎてアレンと雲雀以外には見えなかった人影が近づくに釣れて全員に婦長だと言う事が判った
「二人は何で見えたの?」
ジョニーがそう言うと、アレンはエヘヘと疲れたように笑い、雲雀は嫌悪感を露にしながら返す
「ああ、修業時代の節約生活で夜目がきくようになりまして」
「(目が笑ってない)」
「…僕も似たようなものだよ」
──ガブッ!
何の前触れもなくアレンの腕にガブリと噛み付いた婦長の行動に周りの者は目が点になりアレンは訳が分からずに静止した
婦長は噛んでも尚、ガシガシと歯を立て続けてアレンの腕に深く歯を食い込ませようとする
「ど、どど、どうしたんですか婦長」
「えっ怒ってんの?婦長怒ってんの?」
「モヤシ、テメェまだ退院してなかったのか」
「退院もしてないのに逃げちゃ駄目でしょ」
「バッチリ退院しましたよ…」
リーバーによって婦長から引き離されたアレンは足元かおぼつかず、フラフラしていた
「ちょ、これって婦長も科学班の薬で何かなっちゃったとかじゃないよね?なんか、肉食動物みたいに唸ってんだけど!」
科学班の人間に羽交い締めにされる婦長にミランダは婦長に近づいた
婦長は近づいてきたミランダの首筋に顔を伸ばして噛み付く
この行動に科学班は総出で婦長を取り押さえ、マリによって救出されたミランダはゾッとして固まっていた
「なんでそんな怒ってんですか婦長!」
「ヨダレ!ヨダレ垂れてますよ!」
「落ち着いて話し合いましょう、ねっ?」
「婦長、ととととりあえず落ち着いて…!」
必死に押さえ付ける科学班達だが、婦長の力は尋常でなく…また一人、また一人と噛まれる者が次々と続出していく
先程噛まれたミランダは自分の胸を押さえて心臓を落ち着かせようとする
そこで、またもやマリが異変に気づく
「ミランダ?少し心音がおかしガプッ
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