紅の十字架

□奏者の資格を持つ者
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「ここは…っ。師匠…リナリー?」


アレンが意識を取り戻した場所は真っ白で埋め尽くされ、ピアノとソファーだけが置かれている部屋だった
辺りを見回しながらアレンは立ち上がる


「方舟のなか、なのか……?」


【ココハ千年公モ知ラナイ……「14番目」ノ秘密部屋……】


ドクンッ


「お前は……!
(リナリーや恭弥が泣いてたあの夢でみた…)」


【オレノ「鍵」…オレノ…】


「?カギ…?」


そこに存在する彼はピアノを指差した


「ティムキャンピ…?」


【「アレン」、「オレノティムキャンピー」
フタツガ「奏者ノ資格」】


「「ソウシャ」……?なんのことだ
ティムキャンピーは師匠のものだ。お前のじゃない
何者だ、お前……!」


《ピガガッ…》


「馬鹿っっ弟子ぃぃぃ!!!」


「!!

…………っ」


アレンは耳に大音量で届いた声に悶絶した


《とっとと転送(ダウンロード)を止めろオラァ!!》


「し…っ、しょ」


《「部屋」に行けたのか!?》


《アレンくん、大丈夫!?聞こえる?》


「リナリ?あっ、はい、大丈夫です。……ってかなんかふたりの声、近くないですか…」


アレンはそこまで口に出してからはっ、と気づいたように声をあげる


「師匠!リナリーに触らないで下さい!」


《あ〜ん?お前こっちが今どんだけの床面積で頑張ってると思ってんだオイ
抱っこくらいでピーピー。本当は恭弥の奴も抱き締めてぇよ》


《気にしなくていいから!アレンくん!》


アレンからすると無線機の向こうで狭い床面積で堪えているクロスの状況は知るところがなかった


《そこにピアノはないか!?》


「えっ、はい、ありますが……って師匠、恭弥を知ってるんですか!?」


《馬鹿弟子が恭弥の名前を呼ぶんじゃねぇよ
つか、そのピアノが船を動かす「心臓」になる

弾け!》


クロスの言葉にアレンは驚き、目を丸くした


「あの…?僕ピアノは生まれてこのかた一度も…」


《ティムが楽譜をもってる》


「ってちょっと!楽譜の読み方なんて知りませんッッ!!」


《借金増えんのと、どっちがいい》


「それと二択かいっ!どっちも無理です!!」


《そ…すれば舟はお前の意のま…に……》


ブツッ、ブツッとノイズが混じり始めてやがてピーッと音を立てて通じなくなった


「!師匠!?」


【「アレン」ガ弾ク】


「!
どっ、どうして僕なんだ……!?」


【「アレン」ノ楽譜ダカラ】


その言葉と共にティムの口から映像が現れた


「!?これが……楽譜!?」



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