紅の十字架

□奏者の資格を持つ者
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「……で、何の用かと思ったら何、この体勢……」


雲雀はムスッと頬を膨らませていた
今の雲雀の位置は神田の近くではなく、クロスの膝の上に座らされていた



「ユウと一緒に行きたかった……」


「まぁ、そう拗ねるな」


「あの……元帥と恭弥君は……」


「僕が教団を離れて3ヶ月後に、少しね
で、クロス、僕に用があって呼んだんでしょ」


「どうせ、今回も無茶してたんだろ。広がってるぞ、痣」


「…別に、今回は後悔してない
それと、貴方の馬鹿弟子との任務の時に1回、縮まった」


「あの馬鹿弟子が。つっても、お前のソレを知ってるのは小数だろ」


煙草をふかしながらクロスは雲雀の腕を一瞥する


「まぁ…。本質を知っているのはユウとコムイ、元帥達とノア、千年伯爵だけ。他は詳しくは知らないよ」


「どういうこと?」


「リナは知らない方がいい。これは僕が抱えた罪だから」


「……恭弥君ばっかり、ズルいよ
アレン君も神田も、ラビも……みんな、自分のことは関係ないって言って……っ」


「……ごめん。これだけは、どうしても言えないんだ。言えばきっと、手離せなくなる」


「恭弥、変わったな。2年前はあんなにあの餓鬼ばかり気にしてやがったのに
……決めたんだな」


「うん。やっと決まった
……僕は、ユウの望みが叶うまで側にいる」


クロスはそうか、と返して雲雀の頭を何度か撫でた。雲雀はクロスからクロウリーへと視線を移す


「ねぇ、クロウリーは……」


「かなり体を酷使した戦い方をしたようだな。当分昏睡したままだろう」


「私達の中で傷が一番ひどい……」


「(恭弥の方が酷いが、隠してるな、こいつ……)」


「クロス、言ったら殺す」


「…………。肉体が超人化するイノセンスに救われたな…。早く目覚めさせたいなら、いい治療を受けさせて体を癒してやることだ」


「クロウリー…ごめんね…」


「昔より感情が自然に出るようになったな、リナリー。それに、美人になった
恭弥は男なのが惜しいくらいだ」


「そ、そんなこと」


「元帥は相変わらず神出鬼没。一体いつから方舟(ここ)に?」


「城下でお前達が戦っていた時な。オレもあの場に居た。聖母ノ柩(マリア)の能力で、方舟に紛れ込むベストのタイミングがあの時だった」


だが……と言葉を続けながらクロスは煙草を消して左手で雲雀の頭を自分の胸元に押さえて、右手はリナリーの頬に手を添えた


「こんな美人と恭弥がいるなら、もっと早く出てくればよかったかな?
リナリーの髪は惜しい。綺麗だったのに
恭弥に至っては身体中傷だらけだな」


「ちょっと…、クロス…苦し…」


「アニタさんも、こうして同じことを言ってくれました」


「!…………そうか…


…何があっても跡を追うなと言ったのに、いい女ってのは一途すぎるよな…」


「元帥……」


「…………」



バタンッ!


「犯罪です、師匠!!」


「遅かったか───っ!」


「ちっ、違うのアレンくん今のは……」


「恭弥から離れろッ!!」


「なんだ、馬鹿弟子と餓鬼。16なら立派な女と男だろうが」


「元帥!!」


「クロスの馬鹿!」


クロスから雲雀を引き離して神田は自分の元へと引き寄せた


「恭弥、無事か!」


「大丈夫だよ」


「……恭弥に手ェ出したらぶった斬る」


凄い剣幕で神田が言い放つと雲雀以外の全員の口元がひきつっていた


「「「(怖ぇ……)」」」



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