紅の十字架

□奏者の資格を持つ者
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「この紋章……
ちがう、まさか……ちがう……っ。この文字が、どうしてここに……っ」


【ソレハ唄

旋律ハ…「アレン」ノ内(なか)……】


鍵盤に触れたアレンは自分の意思とは反して鍵盤を弾き始める


「!?手が、動く!?
ひ、弾ける?どうして……っ、この詩につく曲なのか!?
読むと…メロディが勝手に頭の中に…流れて、くる……!」


アレンの頭の中には一つのメロディが流れていた


「メロディ…?ちがう!僕の頭の中で歌うのは誰だッ!?」




――そして坊やは眠りについた……


息衝く灰の中の炎


ひとつふたつと


浮かぶふくらみ


愛しい横顔


大地に垂るる幾千の夢


銀の瞳のゆらぐ夜に生まれおちた輝くおまえ


幾億の年月がいくつ祈りを土へ還しても



「ワタシは 祈り続ける」──……






ザザッ……



《方舟を操れ、アレン!お前の望みを込めて弾けっ!》


「望み…?」


《早くしろっ!》


「望みはっ…転…送を、方舟を……っ」


喉まで出てくるが上手く言葉に出来ずアレンは言い淀む
その時、以前に通信で話していたコムイの言葉がアレンの脳裏を過った




《思いつかないかい?


まずはおかえりと言って肩をたたくんだ


でリナリーを思いっきり抱きしめる!


アレン君にはご飯をたくさん食べさせてあげなきゃね


ラビはその辺で寝ちゃうだろうから、毛布をかけてあげないと


大人組はワインで乾杯したいね


ドンチャン騒いで眠ってしまえたら、最高だね

そして少し遅れて神田くんと恭弥くんが仏頂面だけど、いつものように手を繋いで幸せそうに入ってくるんだ





その言葉にアレンは決意した
彼の望みはただ一つ



「(僕の仲間を返せ──!


消えるな、方舟ぇええ!!」





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