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□テスト返し
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「なぁアーサー、テスト何点やった?」

アーサーはため息を吐き、手元の本から目線を上げてアントーニョに合わせた。

「何でお前に教えなきゃなんねぇんだよ」
「ええやん別に!」
「解答用紙はもうしまっちまって、出すのめんどくせぇからやだ」

そう言って追い払おうとすると、ふて腐れるように口を膨らませたあと、何か閃いたらしくニヤリと笑った。

「もしかして、点数で俺に負けとるかもしれへんのが悔しいん?」

その言葉を聞き、アーサーが固まった。

「俺がお前に負けるだと……? どう考えたらそんな答えが出てくんだ!
第一お前、テスト三日前まで勉強してなくて俺に泣きついてきたんじゃねえか!」
「それはそうやけど! 自分やって勉強しとらん言うとったやん!」
「ばっかじゃねえの!? 日頃から予習復習やってりゃこれくらい余裕だ!」
「なっ……自分今クラスの皆敵に回すような発言したで!」
「言っておくが、フランシスは俺より勉強してねえからな。テスト勉強は勉強しなくてもいい点取れるとか言いやがるから何発か殴らせてもらったが」
「あぁ……その反応は正しいわ」

俺も一発殴ってこようかなぁとか呟きだしたアントーニョ。
お前ら友達じゃなかったのかよと思ったが、いつもこんな感じだからまあいいかと納得。
そもそも考えたら、あの不憫野郎は本当に友達なのかも怪しいところだから、その辺りはもう気にしてはいけないのだろう。
無理やりに納得して、目の前でフランシスをどうボコろうか算段を立てているアントーニョの頭を叩く。

「あいたっ!? 何すんねんクソ眉毛!」
「誰がクソ眉毛だゴラァ! あのな、何ぶつぶつ怖いこと呟いてんだよ」
「?」
「…あー、まあフランシスボコるのは俺も参戦したいから後にしろ」
「2対1は不公平ちゃう?」
「あいつがボコれればそれでいいんだよ。もうその話は後だ!」
「分かった分かった。で、何?」
「……それ、見せろ」

アーサーが指したのは、アントーニョの手の中の丸めた解答用紙。
握りしめたらしく既にくしゃくしゃな気もするが、気にしないことにする。

「見せてくれれば見せるで?」
「……見せてやるから早く渡せ」
「あ、そう。いきなり意見変えたから親分びっくりやねんけど」
「一応お前に勉強教えた身だからな。ちゃんと効果があったか見ておきたい」
「なるほどー」

ふんふんと頷くアントーニョに、折り畳まれた解答用紙を渡す。

「ほらよ」
「おおきに」

解答用紙を開くアントーニョを尻目に、それにしても、とアーサーはふと考えた。

廊下に貼ってある学年上位の順位表を見れば、俺の点数なんてすぐ分かったと思うんだけどな。

ピシッと固まったアントーニョを気にすることもなく、アーサーはやはりくしゃくしゃになっているアントーニョの解答用紙を広げた。





















アントーニョの解答用紙の点数を見て固まったアーサーは、数秒後アントーニョをぶん殴ってから、こいつ週に何回か勉強教えてやらないとダメだと確信したのだった。
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