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「風祭はかわいいっ!」
「もーしつこいんだよ泥酔ジジイ」
「いや桜庭、仮にもそれキャプテンだからさぁ…」
「どうしますそろそろ殺っちゃいますか」
「杉原…お前酔っ払ってるとき喋らない方がいい。酔いが醒める」
「つーかせっかく穏便に決まったキャプテン抹消すんな、まためんどいことになんだろ」
「………何やってるんですか?」
なんだか陽気な雰囲気が漂う選抜。ついさっきまで風邪をこじらせた翼さんを看病していたのだけど(先日僕を付きっきりで看病してくれた際に移してしまった。)、呂律の回っていない藤代くんから留守電があった。そのことを伝えるとなぜか不機嫌になってしまった翼さんだけど、すぐに戻ると約束をして最終的には送り出してくれたのだった。
「風祭ー緊急しょーしゅー、早く来て。じゃなきゃおかしちゃ」ブツッ
ってなってたけど一体どういう意味だったんだろう。おかしちゃ…おかし……?
「風祭ぃ?!どうしてここに」
唯一常人であるっぽい上原くんが僕を見てキョドっている。なぜ。
「いやあの、さっき藤代くんから電話来てて」
「藤代!おまっなにやってんの!!」
「うえ?なんらよ…しょーがないらろ会いたくなったんらから」
「ふ、藤代くん…?」
「風祭〜会いたかったあ〜」
と言って飛び付くように抱きついてくる藤代くんをあわてて受け止める。うわ酒くさっ
「しょ〜う」
「藤代おまえ何さりげに名前呼びしてんだよ。つーかあわよくば風祭の胸に飛び込みたい精神がバレバレなんだよ」
藤代くんは今度はほんのり赤い顔でばしんと頭を叩く若菜くんにしがみつく。藤代くん一体どうしちゃったの
「これなんなんですか?」
「いやなんか…冷蔵庫に置いてた酒でパーティしようってことになって、散々なことに」
「こんなでろんでろんに酔ったら明日辛いんじゃ…」
「それ以前に色んな酒をチャンポンしてっから、後で気分悪くなること必至だな」
「黒川くん…二人は大丈夫なの?」
「まあ俺はザルだからな」
「俺は伊賀と二人で桜庭監視してたから」
「え、じゃあ伊賀くんも無事なの?」
姿が見えないけどと続けると、悔しげに目を伏せ静かに首を振る上原くん。伊賀くんに何があったんだろう…。でも何となく聞いてはいけない気がして口を閉ざす。
「風祭!」
「うわああ!」
後ろから抱きすくめられて悲鳴をあげる。え、なにこの人、真田くん!?
「さっさささ、真田く…っ!」
「可愛い」
「へ」
「おまえ、ほんとかわいい」
慌てて背中の彼と向き合い距離をとると、顔を紅潮させた真田くんがふにゃりと顔を緩めた。
「!?誰っ!?」
「一馬は壊滅的にお酒だめだからね。一口飲んだ瞬間にこうなるから」
「えええ!?」
「まあ見張っときゃ何の害もないし。…ほらー、かじゅま〜とりあえず風祭から離れような〜」
「うー…」
こうして真田くんは郭くんと若菜くんの二人に連れていかれた。
だが、ほっとしたのも束の間。
「あのー…僕そろそろ帰っ」
「つれないこと言うなよ風祭。まだ俺たちの夜は明けない、そうだろ?」
「み…ずの…くん?」
ギギギ…とぎこちなく振り向くと顎を掴まれそっと上を向かせられる。抱きしめられるような形で、腰にはしっかり水野くんの手が。
「風祭…キスしても?」
「うああああ!」
水野くんこわい!っていうかこんなの水野くんじゃないよ誰!?
逃げようとしたけどがっしりと密着したこの体勢では無駄に終わった。
「風祭、顔真っ赤」
「いや…水野くんのほうが真っ赤だよ」
「かわいい。」
「さっきからなんなのそれ…」
かわいいとか言われても。というか水野くんそんなこと軽々しく言う人だったっけ?
「初めてあったときは何こいつって思ってた。よりにもよって武蔵森から来たエースとかいうから実力みてやろうと思えばずぶの素人だし何こいつって」
「………」
「でもちゃんと向き合うと誰よりきれいで、純粋で、かわいいと思った」
「………」
「おまえのこといつの間にか…だから、こうやってずっと一緒にいたい。これからも、一番そばになんて高望みはしないから、できればずっとこうしでっ?!」
突然水野くんが倒れ込む。びっくりして固まっているといきなりポカリと後頭部に衝撃を受けて肩をすくませる。
「痛っ!」
「何してんの、ばか。」
振り向けば彼──── 翼さんが肩で息を吐きながら立っていて、キレイな眉をしかめてこちらを睨んでいた。
「すみませ…って何で翼さんがここに?風邪は大丈夫なんですか?わ、熱あるじゃないですか!まだ寝ていないとダメです!」
反射的に謝ろうとして見上げた彼はいつもより頬がうっすら赤く、辛そうでそういえば風邪を引いていたのだったと慌てる僕を、彼は顔を赤くしたままむすっとして抱き寄せた。
「はぁー…ったく、こっちの気も知らないで。お前は危機感無さすぎ。」
「う………」
「マサキに見張りさせといたからよかったけど、好き勝手されやがって。お前はもう僕のものなんだろう、将?」
少し拘束が解かれたと思えば翼さんは何かを払うように僕の体を触っていく。そして最後に両頬に触れ、遠慮なくムニュと摘ままれた。
「いひゃいれす…つばささ…」
「…………ぷ」
まだマシンガントークが続くのかと思ったけど、彼の口から言葉が紡がれることはなかった。かわりに僕の髪の毛を軽く混ぜていつもの不敵な笑みを浮かべる。その大人びた表情に見惚れているとちゅ、と音をたてて唇に、柔らかいものが触れた。
「…ほら、帰るよ将」
「…はい」
一気に顔が熱くなる。
愛しそうに見つめられ、 たまらず真っ赤な顔を隠すように俯いた。
「………なにあれ」
「…ほっとけ。触らぬ神に祟りなしだ」
「だな。因みに水野は飲むと忘れるタイプだからノーダメージだ。よかったな。」
「良いのか…それ」
一気に酔いが醒めた選抜の皆さん