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□俺は無実だ!
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「うーん」
「決まった?」
「あ、ちょっと待って英士!」
「結人遅い。目移りしすぎなんだよ。」
「そういう一馬だって実はまだ迷ってるくせに〜」
「う、うるさい」
ミーティング解散後。
食堂に行くと、真田・若菜・郭の三人組が何やら机を囲んでいた。
何気なく覗いてみると三人が囲んでいる机の上には、雑誌が広げて置いてあった。ファッション雑誌のようだ。ページには、街角で一般人の女性をスナップした写真がいくつも並んでいる。
「……お前ら一体、何をしてるんだ?」
俺の言葉に若菜がにやりと笑う。
「水野もしてみる?せーのでこのページの中で好みの子を指差すっていう」
「……くだらない」
一蹴して踵を返そうとした。
けれど、
「ねぇ、この子よく見たら風祭に似てない?」
郭の言葉に、ぴたりと固まる。
「ど、どれだ」
思わずのぞきこんだ俺を、若菜がゲラゲラと笑った。
「水野、わかりやすすぎ!」
「お前必死だな」
「ほっとけ!」
「ほら、この子。似てない?」
――そう言われてみれば。
髪は風祭より明るいが、笑った顔が、どことなく。
「あいつのが可愛い感じするけど、確かに少し似てるな」
「風祭が女装したらこんな感じになるんじゃね?」
真田が納得したように頷く。
若菜も身を乗り出して見ている。
「でしょ?」
「そうだな、風祭のあどけなさに対してこのグラマーな体つきはアンバランスな気がするが……」
そう言ったとき。
「……何の話?」
妙に冷えた声が室内に響いた。
4人、おそるおそる戸口を振り返る。
「僕が……何?」
じっとりとした目で風祭がこちらを見ていた。
慌てて弁解しようとした俺を制して、若菜が口を開く。
「水野が雑誌を見ながら好みの女の子を物色してたんだよな」
「そうしているうちに、風祭に似た子がいるって言い出したんだよ」
郭が笑顔で言い放つ。
慌てて否定しようとするが……
「こいつ、その雑誌の子見てお前の女装姿想像してたぞ?」
真田がだめ押しの一言。
瞬間、きっと風祭が俺を睨む。
「そんな…水野くんなんか知らない!!」
力いっぱい俺を睨んで、風祭は走って逃げていった。
そのあとしばらく風祭は目を合わせてくれず、誤解が解けるまで俺は胃痛に苦しむのだった。
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