CP

□転校生の交流
1ページ/1ページ

「かーざまつりっ」
「わ、日生くん…!」
「今日も可愛いなー」
「いやあのとりあえずどいてください…!」

もしかしたら日生くんはイタリアかどこかのご出身なのかもしれない。スキンシップが激しすぎる。
ぎゅうぎゅうに抱きしめて犬にするみたいに髪を乱雑に混ぜる日生くんをなんとか剥がす。(失礼だけどこの言い方がぴったりだ)

「もう、こんなことばっかりしてるから小岩くん以外にも怒られるんだよ!」
「お。風祭もやっと自分が愛されてることに自覚したんだな」
「あ、愛されてなんかないよ。そんな勘違いされたらみんなに失礼でしょ」

「………風祭ってほんと鈍いなあ。俺のスキンシップには超敏感なのにさ」
「うひゃあ!」
「首弱いねー」
「もうほんとやめてよ、くすぐったい…!」

長い人差し指で首を撫でられるのに耐えられなくて、彼の指から逃れようとするももう片方の手がすでに僕の腰に回っていた。

「でも俺さ、ここの人達とは仲良くしようと思うよ。ちょっとは。」
「え?」

僕を自分の方に寄せて、次は何をしてくるのかと不安に思っていたのに、彼の口から零れたのは気弱な切望だった。おもわずその腕の中でもがくのをやめて彼の言葉に耳を傾ける。

「俺の挑発をうまいこと交わしたり、挑発して返してきたり、まともに返して来たりする人いままで小鉄くらいしかいなかった。もともと転校ばっかで一つの学校に長くいることがなかったからかもしれないけど大体てきとーに流されて、もう関わらないでおこってなかんじで距離おかれるんだ。でもあの人らは違うじゃん」
「…日生くん、自分が挑発してること自覚してたんだね」
「そりゃあなー。言ったときは何も思わないけど、周りの反応でわかるよ。あ、俺、言っちゃいけないこと言ったんだなーって」
「鈍いのか鋭いのかわかんないね」
「そーだね。風祭とおそろ」

いつのまにか、僕は彼の腕の中から抜け出てた。日生くんの手は、迷いながらも伸ばされることはなかった。

「だからさ、俺ちょっと今浮かれてるんだ。ガキみたいだけどさ」
「…わかるよ、その気持ち。僕も転校して、不安になったとき部活のみんなに出会って…すごい嬉しかった。今こうしてみんなと楽しくサッカーできるのも…感謝してる」
「……そっか」

僕の言葉にほっとしたように、日生くんは眉を下げて、ははと声をあげて笑った。

「なに?」
「俺と風祭似た者同士じゃん。いいカップルになれるんじゃない?」
「またーそんな変な冗談ばっかり言ってたら彼女できないよ?」
「………こんだけアタックしてこれだもんな。あの人達も、そりゃ大変だ」
「え?なんて?」
「なんでもないでーす」







このままふたりでぎゅーってしてたら溶けてひとつになっちゃいそうとか、恥ずかしいことも考えるんだ。君といると

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ