CP

□理想
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僕の理想の奥さん像?…そうだな、まずは料理が上手いこと。これは絶対条件だな。毎朝美味い味噌汁を飲みたいんだ。………何、笑ってんの!別にいいだろ、理想なんだから!あとはそうだな、きれい好きだといいな。僕の母親がそうだから。もちろんマイホームを持つつもりだから掃除好きじゃないと困る。広い家は掃除が大変だろう?……って、なんだよ、何がおかしいんだよ!大体聞いてきたのはお前の方だろ、将!


「結婚するならどんな人?」
ただふと気になって、冗談まじりで聞いたつもりの問いかけにまさかこんなにうっとりと理想を語られるだなんて思っていなかった僕は、どうしても頬が緩んでしまうのを抑えられなかった。意外と普通の家庭が理想なんだなとか、翼さんってお母さん大好きなんだなとか。そんなことばかりが頭に浮かんで、思わず肩を揺らす。いつも強がってばかりいるくせに、この人はたまにこうやってかわいいところがある。照れたように目の前で顔を真っ赤にさせて早口に弁解する彼を目にすると、そう思わずにはいられない。かわいいなあ。緩んでしまう頬をどうにか堪えながら翼さんを見つめていると、彼は少し悔しそうな表情で上目遣いに呟いた。

「とっ、とにかくそういう訳だから、料理の練習くらいしておけよ、将!」
「…えっ……えええっ、僕ですか!?」何ともたどたどしく向けられたその言葉につい過剰に反応してしまった。その意味を理解していくうちに体はじわじわと熱を帯びる。翼さんは何をそんなに驚くんだと言いたそうに眉を寄せた。
だ、だってそんな言い方、まるで、

「当たり前だろ。お前以外に誰がいるっていうの」

まったく訳のわからない奴だな。そう言ってふっと笑みをこぼす翼さんに僕の視線は釘付けで、ああきっと今、すごい真っ赤な顔してる。
どどうしよう、料理はまあ嫌いじゃないけど、掃除はちょっと苦手だし、翼さんみたいな自信家な人と生活ってなんだかうまくやっていけるか心配だし、ああ、でも、でもなんだか、そんな未来も悪くないなんて、そんなこと思えちゃう僕は、ああ、もうなんて、単純なんだろう、






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