CP

□未来
1ページ/1ページ

「将、」


身体中にまとわりついて離れない、甘ったるい声で名前を吐き出すと、翼さんはじりじりと顔を近づけてくるので、僕の鼓動は止むことを知らない。猫みたいにまんまるできれいな瞳に自分の姿をみつけた瞬間、翼さんのくちびるが触れた。遠のきそうな意識の奥で彼の長い睫毛をうつす。
その後ちゅうっと音を立てて離れるそれは艶めかしく弧を描き、翼さんの手のひらが頬を包み込んだ。
もうだめ。脳みそとろけそう。

「…っ、翼さ、ん」
「ほんとにかわいいなあ将は。…ちゅーしていい?」
「もっ、もうしたじゃないですか!」

熱くて熱くて頭が痺れて、翼さんの顔を直視できない骨抜き状態の僕に、あははっと無邪気に笑う翼さんが手のひらでほっぺたをむにっと潰す。おでことおでこをくっ付けてじっと視線を絡ます彼に、また鳴り止まぬ心音。

「かわいい、かわいい、だいすき、将。もうぜったい離さない」

強く熱を帯びたまっすぐな瞳に引き込まれそうで、ぎゅっと目を瞑った。瞼の奥にも現れる彼の姿にさらに体温があがる。

「ずっと僕のものでいてね、」

またゆっくりと近づく翼さんの吐息に、ついに意識を手放すときを感じた。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ