CP

□もしも、
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例えばきみが突然死んでしまったら、ぼくはどうなってしまうんだろう。


「……生きていけない」

「翼さん?どうしたんですか?」


隣で僕の七割くらいの歩幅で歩く将は、僕の独り言をキャッチし顔を覗き込んだ。こんなあほみたいな顔した子が僕の前からいなくなるなんて考えられない。多分将が死んだら僕も死ぬ。
なんで突然こんなことを考えてしまったのかというと、昨日親戚のおじさんが亡くなったと聞いてそれからなぜかもしも将がそうなってしまったら、となってしまったわけである。ほとんど関わりのなかった人でさえなんだか寂しくて、もっと話しておけばよかったなあなんて思ってしまうのに。

何も喋らない僕を将は不思議そうに見つめて、首を傾げる。くそかわいい。小さな歩幅も、何気ない仕草も、全部すき。将がすきですきで、どうしようもないくらい愛しい。


「ばか」


むに、と将のほっぺを掴んだ。キョトンとした顔で目をぱちぱちさせる将を見つめる僕は、きっとしかめっ面なのだろう。当たり前っていつ崩れるか分からない。一週間後かもしれないし一年後かもしれないし、明日かもしれない。死ぬのはないにしても、こうやって自主練の後毎日一緒に河原を歩くことができなくなる日がいつか来るかもしれない。うん、怖いな。

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