CP

□ナイト
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最近将に元気がない。
連日の厳しい練習に疲れているんじゃないのかとマサキは言うけれど、そういう風には思えなかった。
仲間と話しているときに笑ってはいるものの、どこか辛そうに見える。
現に今、真っ暗なミーティングルームの中からすすり泣くような音が聞こえている。
そーっと扉を開けて中の様子を探ると、将の泣き声がぴたりと止んだ。
暗闇の中手を動かして電気をつけると、頬に涙のあとを残す将と目が合った。

「翼さん・・・」
「辛いときは僕に言えよ」

突然の訪問者に目を瞬かせる将に見てられないんだと言うと力なく笑った。

「バレてたんですか」
「当たり前だろ」

お前のこと、いつも見てるんだからと出掛かった言葉をごくりと飲み込む。
将が座る位置から少し距離を空けて座った。

「翼さんにはいつも頼ってばっかりだから」
「『僕が』頼られたいんだ」

迷惑なんかじゃないから、そう言ってぎゅっと拳を握り締めた。
将の表情は俯いていて分からない。
黙ってしまい、何も答えない将に言葉を続けた。

「ひとりじゃないって気付けよ」

将はいつも一人で抱え込んでしまうクセがある。
だからこそ、それ気付いてその重荷を少しでも軽くしたいと考えるのだ。

「・・・ありがとうございます」

顔を上げた将は笑っていたが、それはやはり無理に作ったような笑顔で椎名が顔をしかめる。

「馬鹿、また頑張りすぎてる」

離れていた距離を詰めるて頭をわしわしと撫でると今度は安心したように将が笑った。
やっぱり将にはこうして笑っていて欲しい。
抱え切れなくなったら、一緒に抱えてやるから、だから。

「僕のそば離れんなよ」

小さく呟いた言葉に将が首を傾げたが笑って誤魔化した。
今はただ、将が元気を取り戻してくれれば。

「もう遅いけど飯でも食いに行くか」

はい、と頷いた将を見て椎名は元気よく立ち上がった。

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