いつもありがとうございます!
綾織


*****


コンコン

シン
「入れ」

シンは、その部屋に入ってきた人物に少々驚いた。

ナギ
「…○○じゃなくて、残念だったか」

キロ、とナギを強く見ると、ナギは軽く笑った。

夜も更けたこの時間、航海室を訪れるのは大体が夜食を持った○○だ。

ノックの数も相まって、○○と予測したまでのこと。

シン
「…どうした」

何かトラブルでもあったのだろうか。

コトン

ナギはサイドテーブルに、持ってきた皿を置いた。

ナギ
「試作品だ」

シン
「…」

皿の上には、小さめだがちゃんとしたホールの、ザッハトルテが。

ナギ
「仕事が片付いたら、こいつと一緒に」

そう言って、白ワインとグラスも置いた。

ナギ
「…じゃあな」

シン
「…ああ」

何となく、察しはついた。

ナギはそのまま、パタンと部屋を出ていった。



シンは暫く、それらを見やった。

ふう、と息を吐いて肩の力を抜くと、サイドテーブルにあるそれらに手を伸ばした。

シンはシルバーの小さなフォークでトルテを崩すと、一欠片口にいれる。

ワインの栓も抜き、グラスに注ぐ。

口に運ぶ。

シンを知るものが、それらの行為をしている彼を見たらその綻んだ顔に驚いた事だろう。

ただ一人を除いて。

そのただ一人は、きっと今、シンのために何かをしているに違いない。

誰かと何か作っているのか、それとも一人で何かしているのか。

気付かない振りをするのも案外大変だ。

そう笑いながら、シンはまたトルテを一口頬張った。

これらを平らげる頃には、彼女の作業も終わっているだろうか。

シン
「…」

少し残しておくべきか。

そんなことを思いながら、シンはまたトルテを口にいれた。

明日はシンの、誕生日である。

トルテの甘さとワインの若々しさが、明日のシリウス号の様子を予見しているかのようだった。



end


******



11/11
Happy birthday シン様!


所でシン様。

シン
「なんだ」

トルテ全部食べちゃったんですか?

シン
「…答える義務はない」

…ええ!?

シン
「俺が貰った誕生日プレゼントを、どう使おうが俺の自由だ」

あ、はい、そうですね。

本当、○○ちゃん以外には厳しいんだから…

シン
「何か言ったか」

いえ、何も!






[TOPへ]
[カスタマイズ]

©フォレストページ