リュウガ

□大人の…
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**1/20 14:37**

○○○
「どうしよう…」

リュウガの誕生日を船で過ごす事になり、シリウス号はとある港町に停泊していた。

それぞれが、宴用の買出しに出払っている。

○○○は雑貨店にいた。

○○○
(船長、何でも持ってるから…)

船長への誕生日プレゼントを買いにきたのだ。

治安の良いこの小さな港町は、思った以上に品物の質が良い。

ソウシが、島々の中継地点にあるからね、と言っていた気がする。

○○○
「んー」

シン
「その変な顔をどうにかしろ」

○○○
「シンさん」

シン
「…プレゼントは決まったのか?」

一緒に来ていたシンは、どうやら目当てのものを買ってしまったようだ。

○○○
「え、っと…」

シン
「プレゼントを選びたいというから、良い店につれて来てやったんだぞ」

そう言ってため息をつかれる。

○○○
「でも、船長何でも持ってるし…」

きゅ、と○○○の眉間に皺が寄る。

シン
「!」

○○○
「う…」

シン
「こんな所で泣くな」

○○○
「…泣きません」

泣きそうな顔をしているくせに。

この小さな店で1時間程ウロウロしていたのだ。

品物など見尽くしてしまっているだろうに。

シン
「…とりあえず、場所を変えるぞ」

○○○
「!」

シン
「何だその顔は。何か思いついたら、また戻ってくれば良いだけだろう」

○○○
「あ…。はい!ありがとうございます」

シンは○○○を連れてその店を後にした。



**1/20 15:03**



○○○
「え…、っと」

○○○は甘い香りに包まれていた。

店の入り口付近には、沢山のケーキがディスプレイされている。

その奥は、こうして座ってそのケーキを食べていけるようになっていた。

植物で軽く遮られたそこは、人の気配は感じるものの外からは見えない。

○○○
(なんか、落ち着くけど…)

白を基調としたシンプルな作りの店内。

○○○がちら、と目をやると、目の前にはシンがいる訳で。

シン
「決まったか?」

○○○
「はい」

店の人を呼ぶと、シンは適当にオーダーをしていく。

シン
「ケニルワースとミルフィーユ・オ・ショコラ。…お前は?」

○○○
「ダージリンと、タルト・タタンをお願いします」

店員
「かしこまりました」

店員が去ると、シンはふ、と軽く息を吐いた。

シン
「さて…。お前は何を買うつもりだったんだ?」

○○○
「…。船長が身に着けられるもので、邪魔にならなくて、あまり高くなくて…」

シン
「つまり、具体的なものは考えていなかったんだな」

○○○
「う…」

店員が紅茶とスイーツを運んでくる。

すぅ、とカップに注がれる紅茶の香りは○○○を少し和ませた。

シン
「お前は忘れているようだが」

○○○
「?」

シン
「船長は『お前がプレゼントでいい』と言っていたじゃないか」

○○○
「!!…そ、んな」

真っ赤になって俯いてしまった○○○を気にも留めず、

シンはショコラを長めのスプーンですくうと、ぱく、と口に入れた。

シン
「欲しい物が分かっているなら、それをやるのが一番だろう?」

○○○
「う」

シン
「どうすればいいか教えてやるから、心配するな」

そう言って、シンはこの上なくにっこりと笑った。

○○○
「でも」

シン
「…こういう店には一人では来れないからな。その礼だ」

有無を言わさない笑みと畳み掛けに、○○○はうっかり頷いてしまったのだった。

その笑顔の裏に、企みがあるとも知らずに。



end.

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