リュウガ

□Before…
1ページ/7ページ

リュウガ編のネタバレしています。

プレイしていない方は、ご注意下さい!


******


ヒュウ、と潮風が男の頬を撫でた。

森を抜け、少し開けた丘の上。

自分の剣を、墓標代わりにそこに立てた。

男は、いまやその土の下にいる弟の物を身に着けている。

帽子、マント、剣、銃…。

掘り返された土の、少しカビ臭い匂いがなぜか傷口に染みるような気がする。


「…」

男は、その手にひとつの指輪を持っていた。

埋められた弟が、最愛の人との誓いを込めていたもの。

流石にそれを自身の指に嵌める気にはなれず、そのまま胸ポケットにしまった。


「さて、いくか…」

男は静かに、その場を後にした。



普通、海で死んだ者はそのまま海に流される。

幸い、近くに島が見つかったからこうして墓を作ることが出来た。

森を歩くと、足元の土に砂が混じる。

道が開け、浜辺へと出た。

副船長
「おい、もういいのか?」


「ああ。手間をかけた。すまない」

副船長
「良いって事よ」

髭面の男はガハハと笑うと、出航の合図を船員に下した。

後から思うことだが、この海域はとても複雑だった。

いくつもの渦と、突出した岩場の多い…

あの船は、苦労してこの島にたどり着いたことだろう。

その礼はまだ、言えていない。

.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ