リュウガ
□Before…
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リュウガ編のネタバレしています。
プレイしていない方は、ご注意下さい!
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ヒュウ、と潮風が男の頬を撫でた。
森を抜け、少し開けた丘の上。
自分の剣を、墓標代わりにそこに立てた。
男は、いまやその土の下にいる弟の物を身に着けている。
帽子、マント、剣、銃…。
掘り返された土の、少しカビ臭い匂いがなぜか傷口に染みるような気がする。
男
「…」
男は、その手にひとつの指輪を持っていた。
埋められた弟が、最愛の人との誓いを込めていたもの。
流石にそれを自身の指に嵌める気にはなれず、そのまま胸ポケットにしまった。
男
「さて、いくか…」
男は静かに、その場を後にした。
普通、海で死んだ者はそのまま海に流される。
幸い、近くに島が見つかったからこうして墓を作ることが出来た。
森を歩くと、足元の土に砂が混じる。
道が開け、浜辺へと出た。
副船長
「おい、もういいのか?」
男
「ああ。手間をかけた。すまない」
副船長
「良いって事よ」
髭面の男はガハハと笑うと、出航の合図を船員に下した。
後から思うことだが、この海域はとても複雑だった。
いくつもの渦と、突出した岩場の多い…
あの船は、苦労してこの島にたどり着いたことだろう。
その礼はまだ、言えていない。
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