ナギ
□silent kiss
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海底神殿、ナギ編その後のお話です。
ネタばれしてますので、ご注意下さい!
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ナギ
「そういう反応するな…我慢できなくなる」
ナギはそう言うと、○○○の唇に唇を重ねる。
激しく…、強く…
ナギに強く抱きしめられた。
ナギ
「…あったけぇな」
○○○
「ナギ…」
ナギ
「あったけぇ…」
ナギの肩口に顔を埋め、する、と頬を寄せる。
くすぐったそうにナギは身を竦めた。
○○○
「…!」
ふ、と耳元にナギの唇が触れる。
それは食むようにして、首筋から肩口へ。
○○○
「…っあ」
思わず声が漏れると、ナギはふ、と顔を上げた。
その、顔が。
愛しむような、切ないような
…泣きそうなような。
ナギは不意に顔を逸らすと、ベッドから置きあがり部屋のランプに触れる。
ふわ、と明かりが消えた。
ぎし、と再びベッドが軋んで揺れた。
○○○
「きゃ!」
ぐい、と強い力に引かれたと思うと。
○○○
(あ…)
ナギにまた、抱きしめられていた。
暗闇のせいか、裸の胸が触れるのがいつもよりはっきりと感じられるようで。
○○○
(な、んかドキドキする…。でも、温かい…)
ナギの匂いがして、○○○はほ、と息を吐いた。
ナギはというと、○○○の肩を撫でたり、その手を○○○の背を滑らすように動かしたり。
絡められた足が、少し気恥ずかしい。
○○○
「…ね、ナギ」
ナギ
「ん…?」
○○○
「ナギが無事で、良かった…」
ぴたり、とナギの手が止まった。
○○○
「…ナギ?…きゃ!」
ぎゅ、と肩を強く抱きしめられる。
ナギ
「…それは、俺の台詞だ」
掠れた小さい、小さい声で耳に届いた言葉。
○○○
「ナギ…」
顔を動かすと、ナギの唇が額に触れた。
○○○
「…」
○○○は何となく、ソリアの事を思い出していた。
生きている彼女に会えたとはいえ、もし出会っていなければ。
ナギはきっと、ずっとそれを心の中に重く抱えたままだったんじゃないかと思う。
ぶっきらぼうだけど、決して冷たい訳じゃない。
むしろ優しすぎるくらいだと思う。
だって今も。ほら。
ナギ
「…○○○」
あまりにも甘く名を呼ばれて、ナギの頬に手を伸ばす。
ナギはその手を、そっと握った。
小さい手を握りながら、ナギは思う。
この温かさを守れて良かった、と。
頭を過ぎるのは、まだ船に乗る前だったあの頃のこと。
裏切られた事よりも、失った事の方が辛かった。
守れなかった非力な自分を、いくら恨んだことだろう。
○○○
「ナギ…」
愛しげに名を呼んで、頬を摺り寄せてくる、この愛しい存在。
○○○を、守れて良かった。
○○○
「ね、ナギ」
ナギ
「ん…?」
○○○
「泣いてる?」
今度は少しおどけたような声で、そんな事を聞いてくる。
○○○が囁くように話すので、触れている頬がくすぐったい。
ナギ
「…泣いてねぇよ」
○○○
「ん…。でも、なんか濡れてる…」
ナギ
「髪、だろ。乾いてなかったから」
○○○
「ホント?」
ナギ
「…泣くかよ」
○○○
「そっか…」
ナギ
「なんだ。不満そうだな」
○○○
「!ううん。そう言うわけじゃ…」
ナギ
「…嘘だ。泣いた」
○○○
「…もう!」
ナギ
「…ははっ」
ナギの手が、○○○の腰に回る。
どちらともなく、足をもぞりと絡めなおした。
○○○
「ね、どっち?」
ナギ
「…」
○○○
「!、んっ、ふぁ…」
突然唇を塞がれ、○○○は少し慌ててしまった。
○○○
「あ…、は」
ナギ
「ん…」
でもそれはすぐに、柔らかい愛しさに変わり。
○○○
(ナギのキス、好き…)
ふ、とナギは唇を離す。
ナギ
「…どうでも、いいだろ」
○○○
「…ふふっ、そうだね」
なんだかナギは気付いていたみたいだ。
泣いた、とか泣いていない、とか。
そんなものはどうでも良くて。
ただ、愛してると。
それを感じたくて。
○○○
「ナギ、愛してる…」
ナギ
「…ああ」
もう一度その唇に、ナギの唇が触れた。
end.
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キスがその答え
でした!