シン
□RON ZACAPA CENTENARIO
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悠々と、大海原を駆けるシリウス号。
その舵を取る男は、冷やりとした風をその身に受けていた。
もう直ぐ空が、黄金色に変わるだろう。
シン
「ん…?」
ふわり、と甘い香りがしたかと思ったら。
○○○
「シンさん!」
厨房のドアが開き、パタパタと○○○がシンの元へ駆け寄ってきた。
○○○
「お夕食、少し遅くなります!」
シン
「…分かった」
○○○
「皆さんにも、伝えてきますね!」
笑顔を残し、○○○はそのまま船長室へ向かう。
まるでバレンタイン王国でのことは、遠い昔の様だ。
穏やかな日常が戻っていた。
○○○は船長室から出てくると、今度は見張り台へと向かう。
その足取りを軽やかに思うのは、気のせいだろうか。
○○○は甲板の上にいるトワに声をかけた様だった。
ひょい、とトワが見張り台から降りてくる。
シン
(あれは…?)
○○○はエプロンのポケットから取り出した、小さな袋を渡している。
プレゼント用に、包装された様な。
先ほど香った、甘い香り。
シン
(チョコ、か…)
今度は洗濯物を取り入れているソウシの元へ。
また○○○は、小さな袋を。
ソウシは嬉しそうに笑い、○○○の頭を撫でた。
そのまま○○○は、船室へと消えた。
シン
「…」
ほんの少しした後。
ハヤテ
「あ〜腹減ったぁ!」
ハヤテが船室から顔を出した。
甲板に出て、大きく伸びをする。
ハヤテ
「おい、シン!そろそろ碇下ろすか?」
少し大きな声でハヤテは声をかけてきた。
ハヤテ
「…シン?」
ドン
ハヤテ
「うおっ!!」
シン
「…避けたか」
シンのその右手に握られた銃からは、煙が立ち上っている。
ハヤテ
「お…っ前、マジで狙ったな!!」
シン
「うるさい。さっさと碇をおろせ」
ハヤテ
(…?なんっか、シンの後ろが黒く淀んで見え)
トワ
「シンさん!そろそろ碇…」
ドン
トワ
「うわああああ!」
今度はトワが撃たれそうになった。
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