ハヤテ
□a partner
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海底神殿、ハヤテ編のネタばれを含みます。
ご注意下さい!
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ハヤテ
「あああ!イライラするっ!!」
その声は食堂に響いた。
シン
「うるさいぞ」
ハヤテ
「うー」
ハヤテは両腕に包帯を巻き、目の前にあるサンドイッチと格闘していた。
いたた、いたたと声を上げながら、一つ一つを口元に運ぶ。
大量に素早く。かつ他人の分も。
そんな食事が一変し、○○○よりもゆっくりとした食事になっているのだ。
シン
「これを機に、味わって食べるという事も覚えたらどうだ」
ハヤテ
「ナギ兄のメシは味わわ無くても美味いんだよ!」
シン
「○○○」
○○○
「はい?」
シン
「お前が食わせてやったらどうだ?」
○○○
「!!」
ハヤテ
「シン!」
ふふんと笑いながら、シンは食べ終わったデザートの皿すらまとめて食堂を後にした。
他の皆は、とっくに食べ終わり仕事に戻っている。
ハヤテ
「もう…、あー!!」
ハヤテは天井を向いて叫んだ。
パタン、と。
食堂のドアが開き、ナギが入ってきた。
ナギ
「…」
ナギはハヤテの様子を見ると、ハヤテの目の前にあるスープ皿を手に取った。
ハヤテ
「ナ、ナギ兄!まだそれ…!!」
ナギ
「取り上げたりしねぇよ。食べやすくしてやる」
ハヤテ
「あ、…うす」
パタン、と戸が閉まる。
○○○
(食堂って、こんなに静かだったっけ…)
○○○は自分の皿にある、最後の野菜を口にしながら思った。
いつもはやかましい位に騒がしく、そしてあっという間に食事の時間は過ぎてゆく。
それなのに今は、ゆったりとした波の音だけが響く。
○○○がハヤテの方を見ると、やはり食べづらそうにサンドイッチを口に運んでいた。
○○○
「…」
○○○はそっとハヤテの皿に手を伸ばす。
○○○
「ハヤテ」
ハヤテ
「…!」
サンドイッチをひとつ、手にとった。
○○○
「えと、はい…」
それをハヤテの口元まで運ぶ。
ハヤテ
「…」
○○○
(やっぱり、ダメだったかな…)
怪我をしているとはいえ、自分で日常の事が出来ないというのはハヤテにとってどうなんだろう。
やっぱり辛い事なのかも知れない。
こうして人の手を借りる事を、良しとするんだろうか。
○○○
(シンさんにも言われちゃってるし…。怒る、かな…?)
○○○はじっと、待った。
○○○
「!」
ぱく!と○○○の手からハヤテはそれを口にした。
が、ふい、とそのまま向こうを向いてしまった。
○○○
(!、わ…)
見る間に耳が真っ赤になっていく。
○○○
「え、と…」
ハヤテ
「次、肉のヤツ食いてぇ」
ぼそり、とそんな事を。
○○○
「う、うん!」
○○○は皿から、肉の挟まったサンドイッチを手に取った。
○○○
(な、んか…)
ハヤテはまだ向こうを向いたままで。
甘えて貰って嬉しい、とか。
役に立てて嬉しい、とか。
照れてる横顔、可愛い、とか。
何だかそんな事を思っているうちに。
ちゅ
ハヤテ
「!!」
○○○
「、あ…!」
○○○は思わず、ハヤテの頬にキスをしていた。
ハヤテは顔を真っ赤にして、びっくりしてこちらを見ている。
○○○
「あ、あの、ハヤテ、その…」
ハヤテ
「おおお、おま、おまえ」
ナギ
「そういうことは、部屋でやれ」
ハヤテ&○○○
「!!!」
食堂の入り口には、ナギが皿を手に立っていた。
真っ赤になって固まってしまった二人の前に、スープの皿を置く。
○○○
「あ…」
それはスプーンですくい易い様、とろみが増していた。
ナギ
「…しばらくは部屋で食え。船長には話しといてやる」
ハヤテ
「お、おう…」
ナギはそのまま、食堂を出て行こうと背を向けた。
流石に邪魔をするわけには。
ハヤテ
「あ!」
ナギ
「?」
呼び止められたようで、ナギは振り返った。
ハヤテ
「…りがと、ナギ兄」
○○○も慌ててペコリとお辞儀をするので、ナギはなんだか笑ってしまう。
ナギ
「気にすんな」
それだけを言うと、部屋を出た。
ナギ
「さて…」
運びやすく、食べやすいメニューを考えなくては。
二人の姿を思うと、腕を振るわずには居られない。
○○○の手伝いもあってか、ハヤテの食事は思ったよりも早く終わった。
ハヤテ
「ふう!ごっそーさん」
○○○
「ふふっ」
ハヤテは満足気に息を吐いた。
人が居ないからだろうか。
照れてしまったのは始めだけで、後はいつもの勢いでハヤテは食事を平らげていった。
ハヤテ
「なんか悪ぃな。こんな事まで」
○○○
「う、ううん!だって…」
ハヤテ
「?」
○○○
「…パートナー、だし」
少し照れたように笑う○○○。
それは海底神殿から戻ってきた時、ハヤテが○○○に言った言葉だ。
協力し合える存在だ、と。
ハヤテはふ、と笑った。
ハヤテ
「…そうだな。じゃあ、さ。もうひとつ手伝ってくれよ」
○○○
「?」
ハヤテ
「 」
○○○
「!!」
耳元で囁かれたのは。
○○○
「お、お風、呂」
ハヤテ
「服脱ぎづれーし、髪だって洗えねぇし」
○○○
(か、顔!顔近いっ!!)
ずい、と迫られて、○○○は顔を真っ赤にさせた。
ハヤテ
「…ハハハッ!」
勢い良く体を離し、ハヤテは笑った。
○○○
「も、う!からかったの!?」
ハヤテ
「…どっちだと、思う?」
少し意地悪く笑う、ハヤテ。
○○○
(あ…)
出会った頃は、見れなかった顔だ。
あの頃のハヤテは、いつも頑張ってて、虚勢を張ったりして、ちょっと近寄り難くて…
○○○
(…)
こうして色んな所を見るたび、ますます好きになって行く。
ハヤテ
「…○○○?」
少し不思議そうに○○○の名を呼ぶハヤテに、○○○は何だか嬉しそうに、笑った。
end.
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目を逸らした隙にキス
でした!!
というか、むこうを向いた隙にキス、ですかなこりゃ…
プチおまけ↓