ハヤテ

□My...
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ハヤテに抱きとめられて眠る。

それはもう、いつもの事になっているのだけど。

○○○
「ちょっと、ハヤテ!」

ベッドの上で後ろから抱きしめられたまま、○○○はもがいていた。

すやすやと眠るハヤテの息が、耳に触れてくすぐったい。

目の前のドアの隙間からは、月の光。

みんなの歌声や騒ぎ声が届く。

そう。今はハロウィンの宴の最中。

居なくなってしまったハヤテを探しに来たら、寝ぼけた彼に抱きとめられ、こんな事に。

○○○
(昨日まで、飾りつけとか頑張ってたのは知ってるけど…)

振りほどこうと思っても、しっかりとウエストに絡み付いている腕。

○○○
(ほんと、悪魔)

ハヤテの仮装は悪魔。

黒のセーターとパンツ、という至ってシンプルな格好だが、角と尻尾はちゃんとついている。

黒い手袋をした腕を振り解こうと、さっきから必死に抵抗しているのに。

○○○
「ド・ア・だ・け、閉めさせて!」

ぐ、とその腕を引っ張ろうとしても、びくともしない。

○○○
(だめだぁ…)

○○○は大きなため息をついた。

カタン。

○○○
(え…?)

ドアから差し込んでいた月の光が、遮られる。

変わりに部屋のランプの明かりに照らされたのは、シン。

シン
「…」

○○○
「シ、シンさん!」

シン
「ふっ」

シンは意味深に笑うと、そのまま姿を消した。

○○○
(み、見られ…っていうか、せめて閉めていって下さい〜!!)

○○○がさらにもがいていると、再び月の光が遮られた。

○○○
(え、まさか…?)

トワ
「あ、ホントですね」

ナギ
「…ガキか」

リュウガ
「○○○、お前女としてもうちょっと頑張れ」

シン
「無理ですよ」

ソウシ
「ほら、皆静かに!」

最後にソウシが顔を出し、おやすみ、と言ってドアを閉めていった。

○○○
(ハヤテ〜!!!)

バシバシと、思い切り腕を叩く。

ハヤテ
「イテェ」

もぞ、とハヤテが動いた。

○○○
「もう、皆に見られちゃったよ!」

ハヤテ
「…ふーん」

そう言うと、ちゅ、と○○○の首筋にハヤテの唇が触れた。

○○○
「!?」

ハヤテ
「Trick or treat」

○○○
「まさか…」

ハヤテ
「?」

○○○
「ずっと起きて、たの…?」

ハヤテ
「…今起きた」

○○○
「ウソ!…もう」

ハヤテ
「まあ、これで邪魔しに来ねぇだろ?」

ハヤテにぎゅ、と抱きしめなおされた。

○○○
「邪魔って…」

ハヤテ
「お前、触られすぎ」

○○○
「!」

ハヤテ
「船長の膝の上乗るし、ソウシ先生には頭撫でられてるし」

○○○
「でも」

ハヤテ
「ナギ兄にはあーんってして貰ってるし、シンにはほっぺた抓られてるし」

○○○
「それは」

ハヤテ
「トワには抱きつかれてるし」

○○○
「前からずっとそんな感じだと…」

ハヤテの額が、○○○のうなじの辺りに触れた。

ハヤテ
「そりゃ、その。前の話だろ…」

付き合う前の、と小さく呟いた声が聞こえて、○○○は少し気恥ずかしくなってしまった。

○○○
「…うん」

ハヤテ
「もうガード固めろよ…」

○○○をもう一度抱き込み直して、ハヤテはそう言った。

そっとハヤテの手に触れると、そのまま握り返してくる。

○○○
「気をつける、ね」

ハヤテ
「ん」

○○○
「でも、ハヤテも助けてね?」

ハヤテ
「当たり前」

○○○
「ふふっ」

繋いでいた手を緩めて、ハヤテの方に向き直る。

ハヤテは少し眠そうな目で、○○○を見ていた。

ハヤテ
「…それ、魔女だっけ?」

○○○
「あ、衣装?そう」

魔女、といっても大きな帽子とステッキがそう見せるだけ。

服は黒のフレアシルエットのワンピースだった。

ハヤテ
「あの、さ」

○○○
「?」

ハヤテ
「今度町で買い物行く時、…それ着ろよ」

○○○
「!」

ハヤテは眠そうにしながら、○○○の頭を撫でる。

フリをして○○○の目を塞ぐ様に手のひらを添えた。

○○○
「え、っと、似合ってるとか、そういう、事…?」

ハヤテ
「…そう言う事」

○○○
「!!」

視界が塞がれているせいか、○○○は自分の心臓の鼓動がやけに強く感じられた。

さっきチラリとだけ見えたハヤテの顔は、赤かったような気がする。

○○○
「あの、帽子とかも…?」

ハヤテ
「ふっ。バーカ」

○○○
「だ、だよね…」

目を覆っていた手が、やんわりと額をひと撫でしてから離れて、また○○○の腰に回る。

見ると、ハヤテはゆっくり2、3回瞬きをした。

まるで眠るのを拒んでいるかのように。



ハヤテ
「…○○○」

小さく小さく。

あまりにも、幸せそうに名を呼んで。



ハヤテは眠りに落ちていった。


深い息遣いに、肩が揺れる。


○○○はそっとハヤテの額にキスをすると、その腕の中で大人しくすることにした。

いずれ訪れる、眠りのために。


○○○
「…おやすみ。ハヤテ」


素直じゃないこの悪魔の、精一杯を胸に抱いて。


*****

ハロウィン企画

ハヤテ

悪魔

でした〜!!

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