シン

□manacles 2
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月額版番外編 カジノ編のシンシナリオをプレイしていない方は、ネタばれになりますのでご注意ください!




*****



シンは○○○の手を引いて、船室に向かう。

甲板には夜気が忍び込み、辺りを僅かにひんやりとさせていた。

足音が少し湿気っている気がする。

○○○の手には手錠。

チャリ、と音を立てるそれをそのままに、○○○は両手でシンの左手を掴み、少し後ろを歩いていた。

○○○
(やっぱり、大きい手…)

冷やりとした空気に反するように温かいシンの手を、思わずぎゅ、と握り締める。

シンはこちらを振り返る事も無く、少し強く握り返してきた。

シン
「ほら、入れ」

シンが部屋のドアを開け、○○○が先に部屋に入ろうとしたその時。

リュウガ
「シン」

倉庫から出てきたリュウガが声をかけて来た。

ドン!

○○○
「きゃわ!?」

シンは○○○の背を強めに押して部屋へ押し込んだ。

シン
「なんですか?」

リュウガ
「? …まあいい。ちょっと気になる話を聞いたもんでな…。上に来い」

シン
「わかりました」

シンはベッドに倒れこむようにしている○○○に向き直る。

シン
「後でな」

そう言うと、部屋を出て行ってしまった。

○○○
「え、えええ〜!!」



******


リュウガ
「やはり、そうか…」

シン
「…海軍がどこまで本格的に絡んでるかは分かりませんが」

リュウガ
「それだけ分かりゃ十分だ」

シン
「他の連中が戻ったら、聞いてみますか」

リュウガ
「ああ。じゃ、もう戻っていいぞ」

シン
「はい。失礼します」


軽く礼をすると、シンは船長室を後にした。

トトト、トトト、と勢い良く階段を降りる。

ハヤテ
「お!シン。どうだった〜?」

ハヤテとナギが丁度カジノ船から戻ってきていた。

ナギ
「何を急いでるんだ?」

シン
「…急いでなどいない」

ナギ
「?」

ハヤテ
「それよりもさ、お前どうだったんだよ?」

シン
「…負けた」

ナギ
「珍しいな」

シン
「そういうお前らはどうなんだ?」

ハヤテ
「ま、俺も大負けだったけどさ」

ナギ
「俺はそこそこ勝った」

シン
「そうか。…ところで、お前らオーナーについて何か聞かなかったか?」

ナギ
「ああ…。色々あるみたいだな」

ハヤテ
「お!ナギ兄も聞いたのかよ」

シン
「丁度船長が話を聞きたがってる。上にいるから行ってこい」

ナギ
「分かった」

ハヤテ
「ぜってーあれ小細工して儲けてんだぜ」

ナギ
「お前のは単にヘタクソなだけだ」

ハヤテ
「ナギ兄ひでぇ!」


そんなやり取りをしながら船長室へ向かう二人を見送ると、シンは部屋へと向かった。

シン
(…急いでいる、か)


言われるまで気づかなかった自分に苦笑する。

船長の話も、二人との会話も最低限に済ませて、こうして急いで部屋へ戻ろうとしている。

シン
(俺らしくは無いな…)


結局は足早に、シンは自分の部屋へと向かった。



トントン。

軽くドアをノックする。

シン
「入るぞ」

○○○
「…どうぞ」

ドアを開けた先には、案の定不貞腐れた顔をした○○○がいた。

シン
「…言いたい事があるなら、言え」

○○○
「せめて外してからでも…」

○○○はまだ手首に掛かる手錠を、シンに見せ付けるように差し出した。

シン
「船長からの呼び出しだぞ?」

○○○
「でも、これじゃあ部屋から出られないじゃないですか。お風呂とか入りたかったのに…」

シン
「風呂なんて、後のほうがいいだろう」


何の後だと思ったのか○○○は一気に赤くなった。

してやったりのシンは、そのまま○○○の左手に手を添えた。

する、と指にしていたブルーローズの指輪を外す。

○○○
「!シ、シンさん?」


不安そうな顔をする○○○に、シンはニヤリと笑って答えた。

シン
「これがあると、色々出来ないからな」

○○○
「い、色々って…」

シン
「言っただろ?今夜たっぷりしてやるって」

○○○
「!!」

シン
「嫌、とは言わせないからな」


そう言ってシンは少しかがむと、○○○の左手薬指にキスをした。

○○○
「!」

そのまま今度は○○○の唇に軽く触れる。

顔を赤くして、少し拗ねたようにしている○○○の頬を撫でると、シンはキスを深くしていった。

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