トワ

□Scherzando
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このお話はクリスマス トワ編のその後のお話です。

ネタばれを含みますので、閲覧にはご注意下さい。




*****

○○○
「きゃ!」

○○○は部屋で、トワに突然抱きしめられた。

○○○
「ト、トワくん…?」

トワはぱっと手を離すと、エヘヘと笑った。

トワ
「楽しかったね!」

○○○
「うん!」

漸く二人は、シリウス号に戻ってきていた。


無断で1泊し、夜遅く帰ってきた二人にシンの小言が飛ぶ。

それを笑ってソウシが宥め、ナギは呆れ顔でココアを出してくれた。

ハヤテはすでに寝てしまっているらしい。

シン
「船長が戻らないから、出航していなかっただけだ。普通なら置いていくからな」

そう言われて、二人はひたすら謝ったのだった。



コートを片付けたりしていると、部屋の隅で、カサ、と音がする。

トワ
「あ!チュー太にご飯あげないと!」

○○○
「!」

トワ
「○○○さん、先にお風呂入って。僕、ナギさんからご飯分けて貰ってくる」

○○○
「…うん。じゃあそうしようかな」

○○○は服をそろえると、そのまま風呂場へと向かった。





トワ
「…さん、○○○さん」

○○○
「…ん」

トワ
「そんな格好で寝たら、風邪引くよ」

トワの声で目が覚めた。

見ると、トワは風呂上りなのだろう。

少し濡れた髪のまま、○○○を覗き込んでいる。


○○○が風呂から上がり、トワを待っているとチュー太が現れた。

その食べ物を食べる姿を見ていたら…そのまま寝てしまったようだ。

トワ
「…ほら、手が冷たくなってる」

○○○
「!」

温かいトワの手。

トワ
「お布団入ろ?」

○○○
「うん」

もぞもぞと布団に入ると、トワは髪を勢い良く拭いて、ランプを消すと一緒に潜り込んできた。

ひんやりとしていた布団が、トワの熱で一気に温かくなる。

トワ
「…○○○さん、こっち」

○○○
「え…?」

そう言うと、トワは○○○を引き寄せて抱きしめた。

トワ
「ほら、こうすると温かいでしょ?」

○○○
「う、うん…」

熱くなった頬を隠すように、○○○は少し俯いた。

トワの手が、○○○の背にそっと添えられる。

○○○
(あったかい…)

トワ
「あのね、○○○さん」

トワは小さく呟いた。

○○○
「?」

トワ
「僕が小さい頃、クリスマスの夜こっそり起きてた事があるんだ」

額にトワの吐息がかかる。

トワ
「…お父さんが、サンタさんの格好してた」

○○○
「!」

トワ
「少し残念だったけど…。でも嬉しかったよ」

○○○
「トワくん…」

トワ
「ね、○○○さん。僕ね」

トワは○○○の髪を掻き分け、○○○の耳にかけるようにした。

トワ
「この船に乗ったから…サンタさん、信じようって思ったんだ」

○○○
「…?」

不思議そうな顔をして見上げる○○○に、トワは笑う。

トワ
「だって、クラーケンとか、幽霊船とか…。いるはず無いって思ってたものと、沢山出会って」

トワは○○○の頭をそっと撫でた。

トワ
「伝説だと思ってた宝物が見つかって」

ふ、と少し寂しそうに、トワは笑った。

トワ
「僕が王子様だったりして」

○○○
「トワくん…」

トワ
「この世界には、僕の知らない事がまだまだあるんだ…」

トワは自分に言い聞かせるようにそう言った。

トワ
「だから、いない、なんて決め付けちゃいけないんだ、って」

トワはニッコリと笑う。

トワ
「だって、ホントに本物のサンタさんに会えたんだよ!きっと人魚だっている。ドラゴンだって」

○○○
「…雪男とか、妖精とかも?」

トワ
「うん!」

○○○
「…ふふっ」

トワ
「僕はそれを沢山見てみたい…」

ちゅ、と額にキスが落ちる。

○○○
「!」

トワ
「○○○さんと、一緒に」

赤い顔で見上げる○○○の頬を、トワはそっと撫でた。

トワ
「○○○さん、好きだよ」

その少し大人びた顔。

○○○はそっと、頬に添えられているトワの手に手を添えた。

○○○
「…私も、好き」

トワ
「…ね、○○○さん」

少し目を伏せて、トワは続けた。

トワ
「僕ね、○○○さんとひとつになりたい」

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