title 夢話

□ら
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あの日の記憶は今でも忘れられない。

それが涼介とのファーストコンタクト、と言ったところだ。
あの時、涼介に会えていなかったら…
今の私はいないかもしれない。



fourth



「・・・千夏。・・・千夏??」

『・・へ!?』

「なにぼーっとしてんだ?」

不意に名前を呼ばれ、意識はFCの車内に戻された。

『……ふふふ。いろいろ思いだしてた。』

「何を??」

『えー。秘密!』

何だよそれ。
そう言って彼は私の頭をなでる。
その声音と微笑みは以前と変わらない。

「俺、お前に言ってなかった事がある。」

『…なに??』

涼介にプロポーズをされたのはほんの一週間前。

「実は…知ってたんだ。」

今日は高橋邸にお邪魔して涼介の両親に顔合わせだ。

「ハンカチを拾ってもらう前から…。千夏のこと…。」

たまたまあの図書館に行って、
たまたま千夏を見かけて、

一目惚れってやつかな…。

「ハンカチ拾ってもらった時は本当に驚いた。千夏を逃がさねえって。思ったんだ。」

『初対面の人を食事に誘うなんて、おかしいと思った。のこのこついて行く私も私だけど…。』

「じゃあ。お互い様だな。」

私は今でも涼介のこの笑顔が好きだ。

これからは毎日、涼介の隣でこの笑顔が見れるのだ。

FCが赤信号で停車する。
「千夏」

『何…んっ!』

「…好きだ。」

『…わかってる…!』

涼介の強引だけど、どこか優しいキスも好きだ。

何より、私は涼介が大好きだ。





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