title 夢話

□勝手
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最初は
本当に…
本当に……

些細なことだった。


だけどきっと、こうなることは決まっていたのかもしれない_____



first


私は幼いころから本が好きだった。

大学生となった今でも暇な時は
こうして図書館にきている。

『今日は何読もうかな・・・。』

借りて帰る時もあるが、ほとんど読みたい、と思った本は図書館で消費していった。

返しに来るのが面倒だし、家では読む時間を作れる自信がなかったからだ。

ブラブラと本棚を巡っていると、
知らず知らずのうちに医学系コーナーの場所に来ていた。

私が大学で学んでいるのは歴史
さらに言うと、日本史、である。

『絶対無理だな・・・。』

本の背表紙を見ただけで嫌になる。
難しそうだった。

その時、
ふと前を見ると数m先に一人の男の人が立っている。
ちょうど棚から本を取りだすところだった。

その横顔を見て心臓がはねた。

端正な顔立ちで
思わず見惚れてしまうほど。

きれい・・・と言うか
カッコイイな〜

この時の感情は、恋に落ちた
というようなものではなく
ただただそのかっこよさに
圧倒されていた、と言うのが正しいだろう。

本を何冊か手に取り、去っていこうとした時

彼のポケットから何かが落ちた。

不思議に思い、近寄って見てみると
シンプルな、それでも高級感漂うハンカチだった。

『あの!!』

そう言って前を向いた時、
彼の姿はどこにもなかった。

それからしばらく彼を探したが見つからず、
仕方なくまた会ったときに渡すことにした。

主人において行かれたハンカチは何となくかわいそうで
そっと自分のカバンにおさめようとした時----


小さくイニシャルがきざんであるのが見えた。



『……R.T…?』

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