拍手連載

□be detected…and secret
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*4*


担任から預かっていた委員会用のプリントをひっつかみ、教室を飛び出す。
目指すはアイツの背中。

ダッシュで廊下を駆け抜け、途中人と何度かぶつかりそうになりながら最近見知ったばかりの背中を探す。

いつき君の話を聞く限りアイツが教室をでてからそう時間はたっていない。
ならばまだ捕まえられる。

階段をおりながら下をのぞくと…

『いた……』

…見つけた。
逃がさん…!!

『ふーじーわーらぁー!!!!!』

もはやジャンプで階段をおりて、藤原の背中にプリントを思い切り叩きつけた。
ぐしゃりと紙の音がして同時に藤原の足が止まる。

『はぁ…はぁ…あんたね!!ふざけないでよ!!人のことバカにしてんの!?委員会の仕事もまともにできないって何なの!?』

シカトされるわ、よかれと思いとった行動もかわされるわ…
極めつけに委員会までさぼられたらこっちだって我慢の限界だ。

『だいたいね…………!?』
爆発した怒りは収まらず、今までの件も問いただそうとしたとき……
不意にぐらりと揺れる視界。
勢い余ってバランスを崩し、斜めに倒れ始めたのだ。
階段中央にいた私たちは私が藤原を押す形で階段下まで真っ逆様。

『…きゃ…あ…!』
「……っ!?」
ドタンバタンと痛々しい音の後、ゆっくりと身体を起こした。
『…っ…!』
「…ってぇ…」
恐る恐る目を開ける。そうすると真っ先に目に飛び込んできたのは学ランの黒色。
そういえばあまり痛みを感じない…。よく見れば藤原を下敷きに倒れている自分。
『…ごめ…』ん!と言おうとして言葉がつまる。
……藤原を踏んでる。
『…!!ごめんなさい!!!!本当にごめんなさい!全然突き倒すつもりなくて!』
「…っ/////!いいからはゃくどケよ!」

『あ……え……??……大丈夫?色々と。』
だって顔赤くない?スッゴい赤くない?しかもしゃべり方変だし。どっかで頭か顔か打った??
「はやくどけって…!」
『あぁ。うん…』
私が立ち上がると、 藤原も素早く立ち上がり、何事もなかったかのように靴箱に向かい歩き出した。
『え。ちょっと待ってよ!話はまだ!』そう言って手をつかめば顔を真っ赤にしたまま振り返った藤原。
「…っ////!!」

これは……

『ねぇ…。もしかして女の子苦手?』
「…っ!……手、離せ…」


やっぱり。藤原はクールでも冷徹でも何でもなくてただ女の子が苦手なだけなのか……!!!

藤原の上に倒れていた事で顔が赤くなるのは普通かもしれないが手を掴んだだけでもこの反応…。
相当な女の子苦手人間…!?

「なぁ。」
『……はい!??』
「誰にも…言うなよ…。」
『言うなって…藤原が女の子にぎゃっ!!』
苦手と言おうとして頭にチョップをくらう。
『ったいなぁ!もう!!』
「口に出すなって…。」

そんなに知られたくないわけ!?変なやつ……ん??まてよ…?……ニヤリ。

『知られたくなかったら委員の仕事、ちゃんとしてよね!!』
…と、まぁ悪人のような発言をしたわけでして。
この手があった!よくやったぞ!自分!しかし、藤原相手にうまくいくかどうか……

藤原はしばらく無言で震えた後、靴箱から方向転換。
「……行くぞ。」
『……っどこに!?』
「……生徒会室。」

……!よ…よし!

「けど。言いふらしたら……」
『オーケーオーケー!わかってるって!』

藤原の女子が苦手だという意外な一面。
その一面を知っているのは私だけかもしれない。


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