拍手連載

□始まりはいつだって
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       *1*


新学期とは名ばかりで前学期と変わっている事なんてほとんどないのだが、一年から二年に進級するこの時期はビッグイベントのクラス替えが待ち構えている。

つい先程そのビッグイベントを終えた今、ざわつく教室といつもとは違うクラスメートの顔ぶれに少なからず緊張している自分がいた。

「やっほー!」
『ん…??え!?…うわ!!』

いきなり予想外の衝撃が私を襲った。
後ろから抱きついてきたこの友達、沙雪は私の頭をこれでもか!というほど撫で回している。

『ちょ!たんま!!沙雪ー!!』
「もー。相変わらず元気みたいね!あんたも!」
『沙雪だって相変わらず私の頭撫でくるの好きだね!?』
「まぁまぁ。いいじゃない。今年は同じクラスだし。」

元々沙雪とは中学もいっしょだった。
昨年はクラスが別れてしまい、少し寂しかったのだが…


「よし!!始業式始まるし!体育館行くわよ!!」

これから一年間このテンションといっしょか。と思うと先が思いやられるくらいだ。

「ちょっと、何ニヤニヤしてんのよ?」
『はぃ!?してないしてない!』
「してたわよ!どうせ変な事でも考えてたんでしょ?」
『失礼だな!?』

前言撤回。
沙雪といっしょにいて嬉しいのはどうやら私の方らしい…



       *



長く、眠くなるような校長の話も終わり、無事終了した始業式。
教室にもどると担任教師がすでに教壇に立っていた。
「席はこの紙に書いてある通り座れよー」と、黒板に貼られた一枚の紙を指さしている。

出席番号で決められた席順がそこには書いてあった。

自分の席を見つけ、座り終えるとホッと安堵の息をもらした。
左手にはグラウンドが見える。
一番後ろから見渡す教室は、なんだか新鮮な感じがした。
相変わらず外はいい天気で雲一つない。
今日は良いことありそうだなあ…なんて事まで考え出した自分に思わず吹き出しそうになった。

きれいな空の青に心癒されていた時…
不意に右側で影が動いた。
続いてガタガタとイスに座る音。
どうやら私の隣の席に座る人物がきたようである。



ゆっくりとそちらに顔をむけると眠そうな顔をした男の子が一つ大きな欠伸をし終えた所だった。



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