short イニD夢話
□本音
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最近、幼なじみの様子がおかしい。
まぁ元からおかしいやつではあったが
最近のはなんか…こう…態度があからさまに変な感じ。
「真琴ー今日、数学プリント提出だったよなー??」
『…っだぁー!!…びっくりした…』
…こんな感じ。
顔赤いし、なんか分かんないけど慌ててる。
ちょっと手どけてくれない!?
と、呼び止めるために真琴の肩においた手をしっしっと払われた。
こいつ……
「…じゃ放課後提出行くから帰んなよ。」
そう念を押してその場から立ち去った。
いつからだっけ。
真琴があんなになったの。
確か先週の…火曜あたりからかな…
何かしたっけ。俺。
その前まで普通に話せてたのに。女ってわかんねえ。
そんな事を悶々と考えてると不意に呼び止められた。
「あの、藤原くん…。」
「…?…何?」
振り返ると同じクラスの女子。
あんまし直接話したことないけど、確か真琴と仲が良い。弁当いっしょに食べてるし、移動教室の時もいっしょに…ってどんだけ見てんだ俺。
「ちょっと話があって…。今日、放課後屋上に来てほしいんだけど…だめかな…?」
「今じゃダメなの…??」
放課後はプリント提出あるし。
そのまま真琴といっしょに帰るだろうし…
「うん…。お願い!すぐ終わるから!」
そう必死に頼まれたら断ろうにも断れない。
「じゃあ…放課後。少しだけなら。」
「ありがとう!またあとで!!」
走り去る彼女の顔が少し赤かったのは気のせいだろうか。
今じゃなくて屋上で言わなきゃいけないことってなんだ?
やっぱ女ってわかんねえ……。
「……あのね…私…藤原君のこと好きなのっ!」
「……!?」
そういうことか…
確かに人呼び止めていきなり言える話じゃないな。
「あー。その…悪いんだけど。」
俺、ずっと前から好きなやついるから。
こんなフリ方したら泣くかな…なんて考えてたけど逆だった。
「やっぱり適わないなぁ…!!二人には。」
二人、とは誰だろう。俺と…?
「今日数学係の仕事あるんだよね?」
「え。…まぁ。」
「時間とらせてごめんね。もう話終わりだから。…いってらっしゃい!」
そう言って手を振る彼女はいつまでも笑顔だった。
どうしてか分からないが、少し心が傷んだ俺はどこかおかしいだろうか。