スレチガイぶるーす
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『ハァ……ハァ……』
どれくらい、走っただろうか?
“ハルじゃねえか。久しぶりだな!”
“こっ。小十郎!政宗は!?”
“さっきお出かけになった。”
“どこ、行ったかわかる!?”
“いや。わかんねぇな…”
家にいない。
携帯に電話してみたけど。
でないし!
今日は学校休みだし。
『も〜っ!!どこいったの!?』
さんざん探し回り、体がくたくただった。
『政宗〜…。』
近くの公園のベンチにすわる。
汗がとまらない。
私がいけなかったんだ。
かってに思い込んで。
一人で突っ走って。
はは。バカだよね…
目をつぶる。
あぁ。そうだ。
昔、私も政宗もまだ小さかった頃だ。
政宗は泣き虫で。
寂しがり屋だった。
政宗のお母さんは家を出て行っちゃって
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「うっ…ヒック……お母さぁん……」
『あー!政宗、またないてる!』
「…うる……さい…ハル……」
政宗がいつも泣きに来る場所は決まっていた。
確か、小学校の裏にある古ぼけたお寺だった。
みんな、気味悪がってそこには近づかなかったし。
『も〜!おとこのこがないたらだめだよ!』
「だって………」
『はぁ。ほら!アイス、半分こしよ!』
「……いらない。」
『ふーん。じゃ!私がぜんぶ食べちゃおう!』
「……少しだけ…」
『いらないっていったじゃーん!』
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懐かしいな…
あの頃に戻りたいよ…!
“ヒミツね…!”
ん?
そういえば…
“ここは私と政宗だけのヒミツの場所だからね!”
お寺…
まだ探してない!
さっきまでの暑さはどこへやら。
お寺を目指して再び駆け出す。
いる。
政宗はそこにいる…
なんとなくわかるよ…
小学校を通り過ぎて、裏に回る。
と、目の前に長い階段があらわれた。
『うそ…こんなに長かったっけ!?』
しかし、登らないとお寺にはいけない。
『よっしゃ…』
気合いで駆け上がる。
が、さすがに力尽きたハル。
『もう……ムリ……きつ……!』
やっとのことで最後の一段を登りきった。
視界は開け、私が探していた彼はそこにいた。
『やっと……みつけた!政宗……!』
「…ハル……!?」
『よっ!!……ちょっと、話があるんだけど!』