スレチガイぶるーす

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『パンかぁ…急にどうしたんだろう。サスケ…』

携帯にサスケからメールが来ていた。
なんでも、私の行きつけのパン屋さんのパンが食べたいとか…
自分で行けよって返したら、代金二倍返しとのこと。
パンの値段で二倍返してあんまりうれしくないんですけど。

仕方ない。
他にすることもないし、最近行っていなかったので、久しぶりに顔を出してみることにした。

ただ。
そのパン屋に行くには、政宗の家の前を通らないといけない。

それもまた仕方ないことだ。
家の前で誰にも会わないようにと願い、足を運んだ。




角を曲がり、左手に大きな日本家屋の門が見えてくる。
何を隠そう、これが政宗の家だ。
いつみてもバカでかい。

ふと前方に人影が…


政宗だった。


『…よりによって。』

むこうもこちらに気づいたようだ。今さら引き返すのは不自然だ。

「ハル…何してんだ?こんな所で。」
『ちょっと…前田のパン屋さんに行こうと思って…』
「そうか…」


なんだ?やけに政宗の元気がない。


『あの…政宗。なんか…あったの?』

一瞬目を見開く政宗。
そして、苦笑した。

「お前何も分かってねぇな…」

『…?大丈夫なら、私、もう行くけど。』

「wait…ハル。なあ、夏祭り、楽しかったか?」

『えっ!?なに!?いきなり!』

「いいから。楽しかったか?」

楽しかったていうか・・。
大変だったような・・。
でも

『もっ!もちろん!楽しかった!』


「そうか。引きとめて悪かったな。きをつけてな。」


『うん・・・』

何だろう。
何でだろう。
心が痛い。
もう戻れない。

届かない。
あの人の背中・・・。

私は
このままでいいの?



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