スレチガイぶるーす
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『あっ!破けたぁ!おじさん!もう一枚ちょうだい!』
「あいよ!まいどあり!」
金魚すくいってこんなに難しかったっけ。
「ハル殿!もう少し上をねらうでござる!」
『上!?もう、ムリ!』
射的ってこんなに難しかったっけ。
『りっんご飴!りっんご飴…』
「どうしたのでござるか?」
『いや…。なんかあんまり甘くないような。まぁ気のせいか。』
大好きなりんご飴。こんなに甘くなかったっけ。
『疲れた!』
「だいぶ回ったでござるな!」
歩き疲れて、出店のでている境内のあたりから少し離れたベンチに二人で座った。
今日は別の町で行われる花火大会の日と重なっており、このベンチからはその花火がばっちり見えるという、絶景ポイントだ。
『花火まで見れるなんて最高だね!』
さっきとったヨーヨーを振り回しながら言う。
「もうすぐで始まるでござる。」
へんなの。
祭りは目の前であってるのに、ここだけ別空間みたいに静かだ。
「ハル殿。」
『なに〜?』
「今日はハル殿といっしょに祭りにこれて、とても楽しかったでござる。」
『なに!?急に改まって!』
「しかしながら、某はまだ大切な事をしていないのでござる。」
『幸村…?』
ふと幸村の手を見ると、かすかに震えていた。
『ちょっ!幸村、大丈夫?』
「ハル殿。」
そう言って、幸村はハルの方にむきなおる。
「某は…。ハル殿の事が、好きでござる!某と…付き合ってほしいでござる!」
そう言いった瞬間、幸村の後ろで花火があがった。
きれいな円を描き、キラキラと落ちていく。
花火の音のように私の心臓も大きく音をたててはねた。