short イニD夢話

□寝坊すけはどっちだ
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本日月曜日
晴天なり

現在時刻
7時45分────


『………終わった…』

私の家から学校まで
自転車で軽く40分はかかる。

8時15分校門通過が義務の私の学校

この時間に起きたことすなわち、“遅刻”を意味する。

ふと携帯をみると、ランプが点滅している。

急いで手に取り、開いてみると涼介から三分おきに電話が入っていた。

『げっ………涼兄…』

するといきなり手の中の携帯が震えだした。

『……もしもし…』
「………やっと起きたか…」
『涼兄〜〜!!どうしよう!遅刻だよ…』

半べそかきながら
ベッドから立ち上がり、制服に着替える。

「言っとくが、俺は何回も起こしたからな。」

『うー…ごめんなさい…』

「はぁ〜…啓介を起こして学校まで送ってもらえ。」

『え。啓兄も大学行かなきゃじゃ…』

「たしか、今日啓介は講義が午後からだったから朝は何もなかったはずだ。」

『よしっ!わかった!ありがと涼兄!』

電話を切った時にはすでに身支度は完了していた。

…もちろん朝ご飯は抜きだけど。

急いで隣の部屋へ移動して、ノックもなしに飛び込んだ。
『…っ啓兄!!』

「……」

『啓兄起きて!!!はやく起きて!!!』
肩を揺さぶるが反応なし。

『…この…おっきろー!』
掛け布団をはがすと、不機嫌そうな啓介と目が合う。

「…んだよ…うっせーな…」
『け!啓兄!お願い!遅刻しそうなの!てかもう遅刻なの!学校まで送って…!!』

「………………やだ」

『啓兄ぃーー!!!
神様仏様啓介様!お願い!お願い!』

「……クッキー…」
『…へ?』
「お前のクッキー…」
『あ、あれ?でもあれは1日に10箱限定の有名菓子店の超レアクッキー…』
くっ!この状況下において多少の犠牲は仕方あるまい…!!
多少の……!!!

「……ダメなら…」
『あー!!もう!わかったわかった!あげるから送って!!』

「…FDんとこで待っとけ…」

『…うん…わかった…』

何だろう。このやるせない感情は…

数分後、欠伸をしながら家からでてきた啓介。

『…おっそい!もー早くしてよー!』

「寝坊したお前が悪いんだろ?」

『…』

悔しいが言い返せない。

二人してFDに乗り込み、学校へと出発した。


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