short イニD夢話

□それは甘い甘いイチゴ味
1ページ/2ページ



『たーくみ!!』

「ん。真琴か…」

『真琴か…じゃないでしょ!!
あのね、ちょっとお願いがあるんだけど…。』

「なんだよ…」

『へへへ〜。今日ね、数学の教科書忘れちゃったんだよね〜!』

「…貸さないぜ?」

『だぁぁあぁ!!けち!良いじゃんかよ!
ほら、幼馴染のよしみでさ!』

「…ハァ。しょうがねえな。後でちゃんと返せよ?今日数学三時間目だから。」

『おおう!!やった〜!!さすが拓海!大好き!』

「…おまえな。」

『やっぱり持つべきものは拓海だね!』

「意味わかんねぇし。ほら。」

『じゃあ、後で返しに来るから!バイバイ!』

“相変わらずだな…”


─────
───
──

「拓海ってさ、真琴ちゃんとどうなんだよ?」

「いきなりなんだよ、いつき。…別にどうもねぇし。」

「だって幼馴染なんだろ?何かあるだろ〜?」

「ねぇよ。なにも。」

“きっとアイツは俺のこと、ただの幼なじみとしか思ってないだろうな…”

「うそだ〜!何も隠すことねぇじゃんかよ」

「…。」
「あ。おい!!拓海〜どこいくんだよ〜!?」

“情けねぇな。何やってんだ俺。”

──
───
─────

『…くみ………た……拓海!!!』

「っ!…おどかすなよ、真琴」

『おどかしてないし!拓海がボヘっとしてるからでしょ!!
さっきから何回呼んだと思ってんの!?』

「ボヘっとなんかしてねぇよ…!」

『あーわかった。わかった。それより、はい!教科書!ありがとうございました。』

「…よだれとかたらしてねぇよな?」

『なっ!?失礼ー…!んなわけないでしょ!』

「ってぇな!叩くな…よ……って何だよ、それ。」

『お礼!あっ、拓海飴嫌いだったっけ!?』

「いや…別に……」

『じゃあ、はい。どうぞ!本当は私が食べたかったんだけどね〜』

フワリと笑う真琴を見て心臓がはねる

“あぁ…俺は本当に…真琴のことが…”


「………じゃあ、食うか?」

『えっいいよ、別に!冗談だって!
それにもう少しで授業はじま……る…』


飴を口に放り込んだ後

二人の顔が近づいた


「いっしょに。」



『何言って……ん…』

広がる香り
それは



「…好きだ。」


甘い甘い
イチゴ味



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ