short イニD夢話
□それは甘い甘いイチゴ味
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『たーくみ!!』
「ん。真琴か…」
『真琴か…じゃないでしょ!!
あのね、ちょっとお願いがあるんだけど…。』
「なんだよ…」
『へへへ〜。今日ね、数学の教科書忘れちゃったんだよね〜!』
「…貸さないぜ?」
『だぁぁあぁ!!けち!良いじゃんかよ!
ほら、幼馴染のよしみでさ!』
「…ハァ。しょうがねえな。後でちゃんと返せよ?今日数学三時間目だから。」
『おおう!!やった〜!!さすが拓海!大好き!』
「…おまえな。」
『やっぱり持つべきものは拓海だね!』
「意味わかんねぇし。ほら。」
『じゃあ、後で返しに来るから!バイバイ!』
“相変わらずだな…”
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──
「拓海ってさ、真琴ちゃんとどうなんだよ?」
「いきなりなんだよ、いつき。…別にどうもねぇし。」
「だって幼馴染なんだろ?何かあるだろ〜?」
「ねぇよ。なにも。」
“きっとアイツは俺のこと、ただの幼なじみとしか思ってないだろうな…”
「うそだ〜!何も隠すことねぇじゃんかよ」
「…。」
「あ。おい!!拓海〜どこいくんだよ〜!?」
“情けねぇな。何やってんだ俺。”
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『…くみ………た……拓海!!!』
「っ!…おどかすなよ、真琴」
『おどかしてないし!拓海がボヘっとしてるからでしょ!!
さっきから何回呼んだと思ってんの!?』
「ボヘっとなんかしてねぇよ…!」
『あーわかった。わかった。それより、はい!教科書!ありがとうございました。』
「…よだれとかたらしてねぇよな?」
『なっ!?失礼ー…!んなわけないでしょ!』
「ってぇな!叩くな…よ……って何だよ、それ。」
『お礼!あっ、拓海飴嫌いだったっけ!?』
「いや…別に……」
『じゃあ、はい。どうぞ!本当は私が食べたかったんだけどね〜』
フワリと笑う真琴を見て心臓がはねる
“あぁ…俺は本当に…真琴のことが…”
「………じゃあ、食うか?」
『えっいいよ、別に!冗談だって!
それにもう少しで授業はじま……る…』
飴を口に放り込んだ後
二人の顔が近づいた
「いっしょに。」
『何言って……ん…』
広がる香り
それは
「…好きだ。」
甘い甘い
イチゴ味