short イニD夢話

□secret love
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「うわっ!見てよ、真琴!」

『ん?なにが?』

「ほら!!あそこ、体育館のとこ!!高橋君!」

『・・・啓介。』

「またケンカしてるよ〜!!怖!!ってか痛そう・・。よく飽きないよね・・あんだけケンカしてて。」

『・・・ホントに』


どうしてこうなってしまったのか、
私も分からないよ。

『・・そうだね。』

私が悪かったの?
それなら謝るから・・・
何回でも。謝るから・・・

だから
また、昔のように笑ってほしい・・・
昔のように・・・
明るくて優しい男の子に・・・


---secret love---


「ねえ、真琴。」
『なに?』

「真琴ってさ、高橋君と幼馴染なんでしょ?」

『・・・う〜ん。』

「あれ。ちがった??確か、高橋君がそんなこと言ってるの、聞いた気がしたんだけど。」

『・・いや。たぶん、幼馴染・・・っていうのかもね。』

啓介は
今でもちゃんと私を幼馴染として覚えてくれているらしい。
それはそれで素直にうれしい。

「・・なんか曖昧ね・・?昔はどんな子だったの?高橋君て。」

『そうだな〜。優しくて・・面白くて・・いつでも明るくて・・』

「うっそ〜!?!?全然想像できないよ・・。」

『そうだね。本当は違ったのかもね・・・?』

「・・・真琴?」

『さ!!駅前のアイス食べて帰ろっか!!』

啓介がワルくなりだしたのは、
たしか中学二年の秋ごろだ。

小、中と一緒だった私は啓介のイヘンに一番に気づいていたかもしれない。

私とも話さなくなり、家にも帰りたがらなかった。

高校に入ってからは夜遊びも増え、
家にも帰らない日が続いているようだ。

なぜ啓介がそうなってしまったのか。
原因がわからないわけではない・・。

たぶん。涼兄ちゃんの・・・
涼介兄ちゃんの影響が大きいのだろう。

両親に期待され、将来有望な涼兄ちゃんに代わって、啓介は何も期待されず。
誰からも見放され・・・
きっと・・・
だから・・・

「・・・真琴!!!真琴ってば!!」

『へ!?あ!ごめん・・!』

「も〜。どうしたの?急に元気なくなっちゃって。」

『ううん!!何でもない。ちょっと考え事。』

「それならいいけど・・・。」

『・・・あ!!やばい。』

「なによ??」


『数学の教科書忘れた・・・。』

「何だ。教科書なら置いときなよ。明日も数学あるし。」

『・・・だめなの。・・・私取り帰ってくる!!!』

「ちょ!!真琴〜!!置いときなって!!」

『私、明日問題あたってるから〜!!!』


真琴の後ろ姿が小さくなり、そして消えた。

「アイス・・・どうすんのよ・・・」




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