short イニD夢話

□強引
1ページ/1ページ



夜の赤城山は熱気に包まれていた。

「きゃーー!!涼介様あぁ!」
「啓介様あぁ!!」

『・・・。』

女子たちの叫び声を無視して、
涼介と啓介は何やら話しこんでいる。

『相変わらずだな。』

それを遠くから眺めている私、真琴も
叫んでいる女子たちの気持ちが分からないでもない。

私も啓介に想いを寄せる一人だからだ。

付き合っているわけではない。
ただ、同じチームで、同じ走り屋をしているだけ。

他の女の子達と違って、啓介が私と話してくれるのはそのコトが大きく影響していると思う。

「ん。真琴!!どこ行くんだよ?」

『今日はもう帰ろうかなって思って。』

「んだよ?まだ来たばっかりじゃねえか?」

『いや・・・。その。用事とかあった気がして・・・。』

こんなに女子に騒がれている啓介を見たくなかった。

自分じゃ、あの女子たちに勝ち目はない気がする。
かわいい子いっぱいいるし。

「はぁ??今夜は空いてるって昨日言ってたじゃねえか。」

『あれ!?そうだっけ・・・。』

やばい。
そう言えば昨日そんな会話をした気が・・・。

『とにかく!!今日はもう帰りたいから!!』

「何でそんなに帰りたがるんだよ??お前、今日おかしいぜ?」

『そんなことないよ!最近、バイト詰め込んでるから疲れてるだけだよ!じゃあ!もう行くから!』

早口でそう言うと、啓介は不機嫌そうに顔を歪める。

「まてよ。」

いきなり手を掴まれて、前に進めなくなる。

『っっ!?なに??』

「俺と一緒にいるのがそんなに嫌かよ?」

『っち!!違う!』

「じゃあ、何で俺を避けるんだよ。」

『避けてないよ!!いいじゃん!啓介には関係ないよ!!』

っちっと小さく舌打ちした啓介。

どうしよう。怒らせた・・・。

「お前、何にもわかってねえな・・。」

『へっ?』

啓介は、掴んでいた手を自分の方に引き寄せた。

そのまま強引に真琴の唇を奪った。

『・・んっ!?』

何度も角度を変えて深く口づける啓介

驚いた私は抵抗することもできず、されるがままだ。

『け・・すけ・・、やめ・・』

真琴の声が聞こえているのか、いないのか啓介はキスを止めようとしない。

涙があふれて、足は力が入らなくなる。
ガクッと体が崩れ、啓介に支えられた。

いつの間にか啓介と
唇が離れていた。

「・・・俺は。お前のことが好きなんだ。・・俺から離れんなよ・・。」

チラリと見えた啓介の顔は少しさみしそうで---

私は何と言ったらいいかわからず、ただただ顔を赤くするだけだった。



---------------------
(恥ずかしいんだけど。啓介。)
(うるせー。俺だって・・・)
(俺だって・・・何??)
(何でもねぇよ!!)



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ