short イニD夢話

□料理は愛
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高橋邸----

広いリビングにある
これまた広いキッチン。

夕飯前なのかそこにはいい香りが漂っていた。

「真琴…」

『どうしたの?涼介。論文終わった?』

「あと少し残っているんだが。この香りのせいで、集中できなくなった。」

『なによ〜?私のせい?』

クスクスと笑う彼女はとても可愛らしい。

「まだ、できてないのか?」

『うん。あと少しだけどね〜。』

「腹、減ったな…。」
そういえば、今日は今朝から何も食べていない。

口にしたのは水くらいだ。

『せかさないでよ!もう少し我慢して?』

その時

『…っ!!いったぁ…い』

「どうした?」

涼介は立ち上がり、真琴のもとへ向かう。

『包丁で指切っちゃった…。』

「どこ…?」

『ちょっとだから大丈夫だよ!』

ほら。と向けられた手の指先は血が出ていてなんとも痛々しかった。

涼介はそのまま真琴の指先を自分の口にくわえた。

口いっぱいに鉄の味が広がる。

『…ちょ!涼介!?大丈夫だから!』

聞こえているのかいないのか、涼介は手を離そうとしない。

『涼介!本当に、大丈夫だから!そんなことしなくても!』

真琴は自分の顔が赤くなっていくのがわかった。


「こっちこい。」

『…うん。』

やっと離してくれた…

ホッとしたのもつかの間

真琴は涼介に手の治療をしてもらっている間中
きれいな手を傷つけるな。
と怒られるのだった。






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