short イニD夢話

□わかるとき
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その日の放課後

「…で。この証明が成り立つ。わかったか?」

『…は。はい…』

だっ
ダメだ。
なんだ。この緊張感。

「…お前。大丈夫か?顔赤いぞ。熱でもあんのか?」

そっと手がのびてきて、私の後頭部に触れる。
そのままグイッと引っ張られ、涼介のおでこと自分のおでこがコツンとぶつかる。

『っっ/////!?!?!?』
目が回りそうだ。
両手で涼介の肩を急いで押し返す。

『だっ!大丈夫!ですから…』

「……。」

その時何を思ったのか涼介が不敵な笑みを浮かべる。

「…言ってなかったが。今日で補講授業は終わりだ。」

『……はっ!?』

「だから。お前に数学を教えるのも最後になる。」

ナンダソレー

『…そう…なんだ。やっと終わるのか!長かったね〜!!』

ズキン
なんだろう。
胸が苦しい。

「…真琴」
『ありがとうございました。』

口が、勝手に…

『こんな私に数学教えてくれて。ほんと、助かりました。』


私はうつむき、手に力をこめた。
なに?この気持ち。

「…フッ。予想以上の反応だな。」

いいながら涼介は椅子から腰を上げた。

「誰が今日でサヨナラだと言った。」

『へ…?』

「補講授業が終わるといっただけだ。何も今日でお別れだとは言っていない。」

涼介の手が近づき、真琴の頬に添えられる。

「真琴。俺はこれからもお前に会いたい。個人的に、二人きりで、だ。」

『それは。どういう…んっ!?』

顔をあげた真琴にすかさずキスをする涼介。

「真琴がすきだ。」

『……。』

また…そうやって。

『私の事、からかってるの?』

「俺は本気だ。お前を絶対逃がしたりしない。」

まっすぐにこちらをみつめる瞳…

あぁ。そうか。


『…私も…』

涼介くんが

『好き…。』


やっと。
わかった気がする

『涼介くんの事、好きなの……』







わかるとき

私の気持ちが
彼の気持ちが



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