short イニD夢話

□ティータイムの後には甘い口づけを
1ページ/2ページ



休日
高橋邸

リビングのテーブルには飲みかけの紅茶とコーヒーが入ったカップがふたつ。


『…で。誰ですか?あの女の子は。』

「………は??」


啓介はカップに伸ばした手を止めた。

啓介の彼女である真琴はじっとこちらを見つめてくる。

あぁ。かわいいな…こいつ。

…じゃなくて。

「……誰って。なにがだよ?」
女の子?

『ほ〜〜!!!とぼけるときたか!しかし、残念ながらそんなの無意味です。』

真琴は人差し指をたて、
探偵が謎を解き明かすかのような口調でこういった。

『黒のFDの女の子と仲良く食事にいった。そうでしょ?』

「……。」
あれか……。

『こっちはちゃんと調べがついてるんだからね!!観念しなさい!』

「ケンタから聞いたのか?」

『ケンタくんは関係ない!私は啓介に聞いてるんだけど?』

「……あのなぁ。あれはたまたま遠征先で俺のFDが壊れてだな。」

『ハイハイハイ。それで?』

「その。そいつにFDかりたんだよ。その時の礼だ。」

『ふ〜ん……。』

「…絶対信じてないだろ…」

『まぁねぇ…』

「はぁ〜。あのなぁ。俺がお前以外の女に惚れるわけないだろ?」

『……とか何とか言ってさ。どうだかね!』

「おい。怒んなって」

『別に怒ってないけどさ。』


絶対怒ってるだろ。

「真琴。そんなに心配すんなよ。」

『…ただでさえ、Dの遠征で会えないんだよ?
…そんな話し聞いたら不安になるよ。』

「真琴…。」

真琴は啓介に背を向ける。
その肩が小さく震えていた。

「…泣いてんのかよ?」

『…啓介の…バカ…!女の子泣かすなんて…最低なんだからね…!!』

啓介は真琴を後ろから抱きしめた。

「悪かった。本当に。」

『…うん。』

「俺が好きなのはお前だけだ。」

『……うん。…分かってる。』

分かってるのに。
ごめんね…

真琴は小さくそう呟いた。

その言葉が啓介の心にも突き刺さる。

いつも我慢させちまって。
不安にまでさせて。

なにやってんだよ。
俺。







次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ