short イニD夢話

□まさかのチャンス
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学校からの帰り道。

『はぁ。今日の数学意味分からんかったわ〜』

「そうか?前の授業のとこより、わかりやすかったと思うけど。」

『拓海は数学得意だもんね〜』


どんな些細な会話であっても
短い帰路であっても

拓海にとっては真琴といっしょにいる
この時間が好きだったし、大切だった。

「真琴だって頭いいだろ。」

『いーや。私は色々と根本的に理解できてないからだめだよ!』

ため息をつく真琴。

そんな真琴さえも
愛おしくなる。

いつからだろうか。
真琴にこんな感情を抱くようになったのは。

『…み…拓海!拓海ってば!』

「ん?あぁ。わりぃ。何か言ったか?」

『また、ぼーっとしてたよ〜!じゃあ、私、こっちだから。』

そう言って真琴は住宅街へと続いく道をゆびさす。

『じゃあね〜。』

歩き出そうとする真琴
「真琴。」

『ん?なに?』

真琴に近づき、髪をなでる。

心臓の音がやけにうるさく聞こえる。

『…どうしたの…?』
「…俺」

このまま、言ってしまおうか…

真琴が好きだ、と。

そのとき

「あぁ!カップルだ!」
「本当だ!チューするぜ!チュー!」

何人かの小学生が拓海たちをみてはやしたてた。


「………。」

『………。』


お互い顔が真っ赤である。

『…こっ!こら!何いってんの!あんたたち!』

真琴がそう叫ぶと小学生たちは走り去っていった。
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