short イニD夢話
□愛しさの裏返し
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『あのぉ……二宮大輝君ですかぁ??』
「………。」
『あっ!私ぃ、二宮くんのためにぃ、チョコ作ってきたんですよぉ……もしぃ、よかったらぁ…いだっ!!!』
「ふざけてんのか?ころS…」
『うわぁ!たんま!ちょっ!下ろして!とりあえず、その手に持ってる工具下ろして!!!』
---愛しさの裏返し---
「こらこら。何やってんの、大輝。」
『さっ!酒井さん〜〜!』
「まったく。真琴を泣かせたらだめじゃないか。」
「酒井さん。酒井さんが知らないだけで、真琴は本当にムカつくやつなんです。」
『ムカつくってなにさ!?』
「今何か言ったか?」『すいませんでした。』
はぁ。
なんなんだ。こいつは。
大輝は改めて真琴をみる。
ちょうど、俺と同じくらいの時期に東堂塾に入ってきて、
そん時からすでにバカ丸出しで、
ドジで、どうしようもないやつだけど…。
そこが、守ってやりたくなるって言うか。
笑うとすげーかわいいと言うか。
スタイルいーし。
って何考えてんだ俺ぇぇ!!!!!!!
『大輝、どうしたの…!?』
酒井は声に出して笑いたいのをこらえている。
「あぁ。そうだ。僕は社長に呼ばれてるから、もう行くね。」
『あ。はい!またあとで!』
酒井がいなくなった後
愛車、EK9を整備していた手を止め、
真琴の方に向き直った。
そういえば、今日はバレンタインデーである。
『あぁ。そうだ。はい!これ!』
「チョコ作ってきたのは本当だったのか?」
『当たり前じゃん!味わって食べるように!』
「胃薬持ってきてねぇ…」
『あれ?いらないのか。そうかそうかそれは残念じゃあ社長にあげ』
「っ!まて!俺が!……その…もらってやるよ…」
『……。』
「そうだよな!社長は忙しいし!お前のチョコなんか食う暇ねぇしな!」
大輝はそう言って真琴から包みを取り上げた。
『あっ!……もー。
じゃ、確かに渡したからね!』
真琴はそのまま走り去ってしまった。
どうせ、義理か、友達の類のチョコだろうと、腹をくくり、中を見てみると。
手紙が入っていた。
そこには
“大嫌いの反対!!!”
の文字。
「……大好き…」
自分で言って大輝は顔を真っ赤にした。
(酒井さんは真琴からチョコもらいました?)
(いや。僕は…)
(まさか、もらってないんじゃ…)
(クッキーをもらったよ。)
(…なんだ。このがっかり感)