short イニD夢話
□I like・・・
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『お願いぃぃ!!』
「ったく!!わかったから離せ!その手を!」
---I like・・・---
「おらよ。今月号。」
『わぁ・・ありがとう!!啓介!!もう大好き!!』
「おまえな・・・。」
小学校からの付き合いである、啓介に大好きな車雑誌(今月号)を借りることのできた真琴は心底うれしかった。
『やっぱいいわぁ。ハチロク!!』
「おまえ、ハチロクなんか好きなのかよ。」
『今、全国のハチロクファンを敵に回したからね?』
午後2時過ぎの学校の屋上は二人以外誰もおらず、風が心地よくふくだけであった。
「てか、真琴。お前こんなことでいちいち呼び出すなよ。」
っま、どうせ次の授業もサボるつもりだったけど。
『こんなことですって!?私にとってはこの雑誌を啓介から借りて見るということが一大イベントなのに!!!』
「いいかげん自分で買いやがれ!!」
『うっ・・・。っあ!そうそう!!啓介の好きな車はどれ??』
こいつ。話を逸らしやがって・・・
「・・・そうだな。やっぱ一番はFDだろ。だんとつで。」
『FDか・・・。まあまあだね!!』
「ばかにしてんのか。」
『すいませんでした。』
真琴が車を好きになったのは他ならぬ、啓介の影響である。
『・・・そう言えばさ。啓介は車のほかに好きな物とかあるの??』
「・・・。なんで今そんなこと聞くんだよ。」
『なんとなくだよ。
そう言えば車以外の事で好きだって聞いたやつ、ないなぁ。って思って。』
「・・・。ねえよ。」
『え〜!?ホントに!?うそだ。』
「決めつけんなよ!」
『他に何かひとつくらいあるでしょ?ねえ!!』
「・・・。」
真琴のしつこさは筋金入りである。
長年付き添ってきた啓介はその事をちゃんと分かっている。
「・・・・一つだけなら。な。」
『何々!?!?』
ゆっくり深呼吸して、心を落ち着かせる。
真琴のほうに向きなおる。
ゆっくりちかづいていき、
真琴の前でとまる。
「・・・。」
『・・・ナニ!?』
「お前・・・。」
『・・・っへ?』
「だから。その。それが、おまえ。」
『・・・それって・・?』
「あーもー。だから、好きなものっつってんだろ!!!
それが真琴だって事だ!」
はっきり言わせんな!!
そう言って啓介は逃げるように校内につながる扉に向かって歩きだした。
やべぇ・・・
言っちまった。
何年も言えず、心の奥深くにしまい込んでいたコトバ
後に残された真琴は30分後の、授業終了を知らせるチャイムの音で我にかえったそうだ。
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(雑誌…渡したままだった…)
(えっと。つまり。…………告白ぅ!??)←30分考えてこれだけ。