short イニD夢話
□交差して繋がる。
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最近自分がおかしい…
前から頭が弱い子ではあったけどそういう意味ではなく。
そのおかしさの原因は拓海にある。
拓海とバスで帰った日を境に私の中で何かが変わった。
すべては先週の火曜日…あの日から…
「真琴ー今日数学プリント提出だったよなー?」
ぽんっと肩に置かれた手。
それは言わずもがな拓海のもので…って!!
『……っだぁー!……びっくりした…』
いきなり何をっ!
肩に置かれた手を意識してしまう。
『ちょっと手どけてくれない!?』
手を払うと拓海に黒いオーラが見えた。
あ、これは少し怒ってるときのオーラ!
放課後、プリント提出に行くから帰んなよ。と念を押され難を逃れた。
放課後…
放課後かぁ…
拓海はまだ話を聞いていないのだろうか?私は昨日の出来事を思い出していた
―――
――
―
「真琴…」
『何〜どうした、そんな今にも世界が終わりそうな顔して』
「…ちゃかすな!…真面目に聞いて。」
『はい。』
「……明日の放課後、拓海くんに告白しようと思うの。」
ドクンッと心臓が大きく跳ねた。
『……うん、それで?何で私にわざわざ…』
「真琴は…その…拓海くんの事…」
『拓海の事??大丈夫大丈夫。何とも思ってないから。』
どんどん自分で自分を傷つけていく。
そこではなしを無理矢理終わらせて自分の席に着くとタオルを頭からかぶった。
何とも思ってない?
それならどうしてこんなに傷ついてんの。どうしてこんなに泣きそうなの。不安なの。
きっと…遅すぎたのだ。そして近すぎた。彼と私の距離は。
私が今更拓海の事を好きだと言ったらどうなるのだろうか――――
『はぁ〜。』
今回は私だけで係りの仕事しなきゃいけないのか。
ふふふ、実は私が仕事ができるやつだと拓海に思い知らせてやる…。告白されて帰ってくるだろう、拓海に。
「わりぃ。遅くなった。」
『うん。もうあと提出するだけだからそのまま職員室寄って帰るわ。』
「あ。おい。真琴!」
立ち上がり、教室のドアまで来ていた足を止めた。
『…何?』
「…いっしょ帰んないのか?」
『……っ』
告白はどうだったの。何でそんな事言うの。私はあなたの何なの。
『…さよなら』
逃げた。怖かった。無くしたくなかった。拓海という大切な存在を。
「まてって。」
だけどあっさり捕まった。
手にしていたプリントが散らばって空を舞う。
「さよならって何だよ!意味わかんねぇよお前!」
『私もわかんないよ!!』
ごめんね。拓海。これは八つ当たり。
『拓海が告白されるの分かってたしその話聞いたら不安になるし二人が付き合う事になったらもういっしょに帰れないなって…』
そこまで言って拓海に掴まれたままの手を引っ張られた。
自然と拓海の腕の中に収まる。
『…何して』
「告白なら断った。俺はずっと前から真琴の事が好きだから。」
『……は』
「何を勘違いしてんのかわかんねえけど俺が付き合うとしたら真琴だけだ。」
『……』
何も言えない私をやんわりと解放して、廊下に散らばったプリントを集め始める拓海。
「…何ボケッとしてんだよ。拾うの手伝え」
耳が真っ赤なまま言われても…
ていうかボケッとかしてないし拓海に言われたくない!
『…拓海。ごめん。』
拓海の動きが止まる。ゆっくりとこっちに向き直った彼の表情は硬い。
『私も拓海の事、好き…』
最後まで聞こえただろうか。
顔が熱い。
「…どれだけ待ったと思ってんだ。…絶対離さねぇからな。」
また、拓海の顔が赤くなった。