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□素直になれない2人
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一年B組―――
佑助の席に居るのは一愛
「アカン言い過ぎや。ホンマに別れる事になったらどないしよう・・・」
売り言葉に買い言葉―――
2人とも本心ではないだろう
しかし、引っ込みがつかない
「ゴメンな・・・ホンマはあんな事思ってないねん。アタシがこうしてられんのは、アンタのおかげやから、感謝しとるし、頼りにしてんねん」
一愛の素直な気持ち
本人には恥ずかしくて、とても言えそうにないけど、心から感謝し、その存在に依存している
「好きや・・・めっちゃ好き。涙もろいとこも、かっこ悪いとこも、照れ屋なとこも・・・全部、ひっくるめて大好き」
カタンッ―――
突然の物音にビクッと反応する
振り向くとそこには佑助がいた
「・・・なっ///いつから居ったん?」
「“頼りにしてる”ってあたりから」
(ほとんど全部聞かれとるやん//////)
恥ずかしさのあまり顔から火が出そうな位、真っ赤になる一愛
「なぁ・・・今のマジ?」
「え?」
「だから、さっき言ってたこと」
恥ずかしそうに俯きながら一愛は本心を語り始めた
「ホンマや。アタシはアンタに救ってもろた。初めはその感謝の気持ちと好きって気持ちを勘違いしとんのやろ思てた―――けど、ちゃうねん!アンタのこと見てると、胸がキュッて苦しくなるし、いつの間にかアンタの事考えとる。・・・好きやから、だからもっとカップルらしい事もしたい思てんねんけど//////」
あまりの恥ずかしさに言葉を詰まらせてしまう
「おぉ・・・」
佑助は、一愛よりも顔を赤く染めて聞いていた
「オレさ、恋愛とかよく分かんねぇから、正直どうしたらいいか分かんねぇ・・・けど、お前に別れるって言われた時は、こう心臓を掴まれたみたいにさ苦しくなって、それはイヤだなって思って追いかけてきたんだ・・・っておい!なんで泣いてんだよ」
ボロボロと涙を溢す一愛に驚く
一愛は涙を拭って答えた
「嬉しいからや・・・ボッスンもアタシの事好きやんな?」
核心―――
佑助はまだ一愛に『好き』という言葉を言っていなかった
それが、一愛に余計な不安を抱かせていた
「あぁ、好きだ」
告白してOKはもらえたが、いつもとなんら変わらない
手をつなぐワケでもなく、まして抱きしめられたりもない
気持ちを聞きたいけどストレートに聞くには恥ずかしいし、もし、同情みたいな気持ちだったらと、ブレーキがかかる
そんな日々を過ごしていた一愛にとって、今の佑助の言葉は心に響いた
その瞳からは、再び涙がこぼれ落ちる
スッと近づく佑助
“ソコ”で泣くのは2度目
さほど広くもない肩にすがり、涙を流す
2度目の涙は嬉し泣き
一愛の泣く場所はやはり“ソコ”なんだろう
群青色の空が、寄り添う2人の影を教室に落としていた
Fin