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□プールに行きませんか?
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「あぁ〜ヒマだなぁぁぁぁ〜〜」
やってる事は部室と変わらないのに、秒数を数える和義も、無意味な行動をツっこむ一愛もここにはいない
夏休み―――
家でゴロゴロしている佑助
そこに妹の瑠海が突然「ねぇお兄ちゃん、ヒメコちゃんとはどうなの?」と聞いてきた
付き合い始めて1ヶ月が過ぎようとしているが、そのうち2週間は夏休みで会っていない
どうと聞かれても、答えようがなかった
「・・・なっ!なんでお前が知ってるんだよ!?」
「何が?・・・あっ!まさか、付き合ってるの?」
どうやら墓穴を掘ったようだ
「ねぇねぇ、いつから?いーつーかーらー?」
「いいだろそんなんどうでも・・・///」
「この前ウチに遊びに来た時はそんな感じじゃなかったからー・・・」と、推測を続ける瑠海
そこに母、茜が帰る
「ただいまー」
「ねぇ聞いて!お兄ちゃんとヒメコちゃん、付き合ってるんだって!!」
“おかえり”もなしに、瑠海はたった今仕入れた最新情報を、茜に提供する
「マジ?いつからなの?ねぇ、いーつーかーらー?」
母と妹、2人して同じように聞いてくる
「手は?もう繋いだの?ちゅーは?もうしたの?」
興味津々な茜は次々と質問してくる
自分が一愛を好きだと気付いてから、妄想・・・もとい、一愛の事を考えっぱなしの佑助は、今のでいたらぬ想いが頭をよぎる
「何もしてねぇよ!相手はヒメコだぜ?そんな気分にならねぇよ」
「ヒメコちゃんにもそんな態度じゃないよね?あんまり素っ気ないと女の子は不安になるんだからね!!」
中学生とはいえ、やはり女の子
瑠海の意見はもっともだろう
「もういいだろ?ほっといてくれよ」
2人を振り払って自分の部屋に入ろうとする佑助を茜が呼び止めた
「佑助!母ちゃんイイ物もらったんだった!!ココのねスタッフジャンパーをウチがデザインすることになってね・・・」
そう言ってゴソゴソとバッグをあさって取り出したのは、市民プールの割引チケットだった
「アンタにあげるから、ヒメコちゃんと行って来な!どうせ夏休みになってから会ったりとかもしてないんでしょ」
鋭い考察
さすが母親である
「ほら!」と急かす茜
「なんでヒメコと行かなきゃなんねぇんだよ!?」
「またそんな事言って!ヒメコちゃんに嫌われるよ!!ほら、瑠海が電話かけるから、出てよね」
自分の携帯でヒメコに電話をかける瑠海
『もしもし・・・』
「あ!ヒメコちゃん?お兄ちゃんに変わるね」
『どないしたん?』
「母ちゃんが・・・プールで・・・割引チケットに・・・行かないかと・・・」
意味不明である
『は!?なんて?』
「もう」と電話を奪う瑠海
「あのね、市民プールの割引チケットがあるから、ヒメコちゃんとデートしたいんだって」
『デート!?』
言いたい事を言って「ほら!」と携帯を佑助に渡す
「無理なら別に行かなくて・・・」と言いかけた佑助に被せて一愛の浮かれた声が聞こえる
『無理ちゃうよ。アタシ、プールごっつ好きやねん!!』
明日10時 駅前の像の所に待ち合わせ
まさか親の見てる前でデートの約束をすることになろうとは・・・