Support

□忍者な彼氏 ☆
1ページ/2ページ


「一愛」

スケット団の部室にコイツが来るようになって一ヶ月

オレはまだ慣れない


「ほな帰るわ」

依頼はないが、あっさり帰られるのは癪に触る



『微笑ましいですなぁww』


スイッチがチャチャを入れる



「ふんっ。当たり前だろ?オレは一愛を守るんだからな」


(うわっはぁぁぁ!カッコいいですねー。なんですか?その凛々しさに、コロっとやられたんですか?)


「希里!恥ずかしいから辞めてぇや」



(恥ずかしい?似合わねぇんだよ)



「おぅ帰れ帰れ!どうせヒメコに出来る事なんか、ケンカ止めるとかしかねぇんだ」


「なんやのソレ?行くで希里!」




オレにキッとガン飛ばして、加藤と仲良く帰って行った



『素直じゃないですなぁ』


さっきと同じ調子で言う






―――――


イライラする
モヤモヤする



最近ずっとだ



『オレは一愛を守るんだからな』


加藤の言葉を思い出す




「はっ、何が“守る”だ!ヒメコを守るのはオレなんだよ!」


独りだったアイツに、オレが側にいるって言ったのにな

アイツから離れていくなんてな



そもそも、独りになろうとするアイツを変えたのはオレだぜ

アイツが今明るいのは、全部オレの優しさのおかげだぜ


バーカ バーカ バーカ






『ボッスン、心の声が漏れてるぞ。それに優しいだけじゃ“いい人”で終わるのがセオリーだ』


スイッチが分かったような顔で言う





「うるせー」




オレ達も帰ることにした



なんとなく気分が晴れず、回り道をして帰る





普段は通らない道

通りのはずれには公園があった


オレが初めてヒメコを助けたのも、こんな感じの公園だったな


なんとなく足を進めた










公園なんて、することもないのに入らなければよかった

いや、まっすぐ帰ればよかった













公園では加藤とヒメコがキスをしていた



















どうやって家に帰ったのか覚えていない


気付いた時には自分のベッドに突っ伏していた








大人だなーなんて拗ねてた時とは、確実に違う


いつもオレに向けられていた笑顔が、別のヤツのものになってることが気に入らない

何をするにもオレに従順だったヒメコが、別のヤツに従順なのが気に入らない

ヒメコが別のヤツのものだってことが気に入らない



分かってるんだ

この気持ちの正体に




気付くのが遅くて傷つく事になったのは、自分のせい




だから気付かないふりをして、傷つかないようにする





失って気付く君の大切さ

もう戻らないあの時間






あぁ神様

どうかオレのヒメコに戻して下さい



Fin

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ