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□BORN
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『お前の強さは在っていいんだ』

『そのバカみてーな強さが必要なんだよ』


(そんな事初めて言われたわ)




最強のヤンキー“鬼姫”
そんなあだ名で呼ばれ恐れられていた

友達に裏切られて
素直だった少女は
自分のココロを封じた
幾重にも鍵をかけて




そんな彼女の扉を開いたのは
ひどく不恰好な赤ツノのヒーロー



彼は校内に彼女が“鬼姫”だと広めた














教室がいつも以上にざわついている


「鬼塚さんが鬼姫なんだってよ」

「マジで!?」


「最初から絡みづい感じだったよね」

「私なんて無視されたんだから」


「ゴリラみたいな顔じゃないじゃん」

「噂はあてになんないね」


「どっちにしても暴力女なんだろ?」

「あぁ、近づかねーのが身のためだぜ」


「あっほら・・・」





一愛が教室に入ると、急にしーんと静まり返る


(やっぱりや。みんな怖がって近づこうとはせん)


佑助は受け入れさせると言ったが、そう簡単にみんながみんな、受け入れられるはずがなかった






キーンコーンカーン・・・



「おーい、鬼塚ぁーー」

授業も終わり、早々に帰ろうとする一愛を呼ぶ声
佑助だった


「部活作るって言っただろ?何、帰ろうとしてんだよ」

「本気なん?アタシなんか入ったら誰も近寄らんよ」

「いいから来いって!!部室もらったんだけどさ、きったねーんだよ。今日は掃除しながら今後の活動について話しようぜ」



そう言って佑助は半ば無理やり一愛を部室へ引っ張って行った

(コイツと居るとホンマ調子くるうわ)

そう思いながらもまんざらでない一愛


もともと明るく活発だった彼女は、こういう楽しそうな事は大好きだった



「学園生活支援部?」

「いいだろ?人呼んで“スケット団”!!」

「出来たばっかで誰が呼ぶんや!“団”って2人しか居てへんし」

「でもいい名前だろ?早く活動したくてウズウズしてんだよオレ!」



佑助は本当に嬉しそうに話した
その顔を見て一愛も何だか幸せな気持ちになっていた



「やっぱりポップマンはさぁ・・・」

「この帽子はマジで気合入るから・・・」



正直、手よりも口が動いている佑助に比べ、オカン気質の一愛は、「雑巾の絞りがあまい」とか「掃除は上から」と佑助にダメだししながらもテキパキと片付けていく



(コイツ本気かいな?正体もばらしよったし。みんな怯えとったで。活動出来んのとちゃうやろか?)


横目で佑助を見ると、「ここにはくつろぎスペースが欲しい」とか「団旗を作りたい」だとか、のん気に構想している


一愛は、昨日からずっと疑問に思っていたことを佑助に聞いてみる


「なぁ。アンタ本気なん?」

「んあ?」

「今日かて近寄りとうない言われてんねんで?アタシ居ったらアカンとちゃう?」

「なんだ、そのことか・・・昨日も言っただろ?ここがお前の居場所だって」

「居場所・・・か」


今までは、「来んな鬼姫」と疎外され続けてきた一愛
自分の居場所なんてどこにもないと思っていたから、この言葉は嬉しかった



「ああ!これからは、泣くのも笑うのも一緒だかんな!絶対に1人にさせねー」






ドキッ―――


(さらっと凄いこと言いよったで、コイツ///)




「ありがとう」

「あ?なんか言ったか?」

「なんも」




恥ずかしくてしっかりと伝えられないが、一愛の心の底からの感謝の言葉だった





ガラガラッ―――

急に部室の戸が開いた


「もう部室もらったんだね」

そう言って入って来たのは、学級委員の高橋さん


「実は相談があって来たの」

「おっ!早速、依頼か?」

ノリノリの佑助


「最近、制服が盗まれる事件が多発しているの」

「そんな話聞いたことねぇぞ」

「えぇ。犯人は盗まれた事を誰かに言ったら、持ち主しか知りえないテストの点や、中学の成績を公表するって脅迫めいたメモを残してて、言うに言えなかったみたい」


―――――



「なるほどな。犯行時間は体育の授業中だったり、部活中だったりとバラバラで、ターゲットは男女共に成績が芳しくないヤツか。自分からは言い出せないとなると、証言を取るのも一苦労しそうだな」

「無理なお願いしてゴメンね。私にも手伝えることがあったら言って?」

「いや、オレと鬼塚だけで十分だ。早速、明日から調査開始だな!」
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