銀→青2

□45
2ページ/14ページ



「飲み比べだよ。ま、不条理極まりない勝負だがな」


「というか、二人とも未成年なのでは?」


「あぁ。……息抜きも必要ってことだ」


「はぁ」と納得いかぬまま返事をすると、遠くの方で「翼ちゃーん!?」と山崎の声がする。


当然メフィストには聞こえていたが、決して見ないままに、先程の会話を続ける。


「沖田殿に似ている、ですか。

彼は独占欲が強そうに見えますが、もしかしてそのことを言ってます?」


「まぁな」


しれっと答える土方。それにメフィストは、「なるほど」と答えた。


「間違ってはいません。が、しかし……彼には悪いことをしましたねぇ」


「……」


「沖田殿を見る限り、翼に想いを寄せているように見えて、仕方ないのですよ」


「……」


土方はズッと、おちょこで酒を喉に通す。すると隣のメフィストが、


「どうぞ」


と、とっくりを傾けた。


「……すまねぇ」


トトトッと注がれ、またなみなみと水面が揺れるおちょこ。土方はそれを黙って見る。


「……」


メフィストも一緒に黙っていたのだが、口寂しと言わんばかりにとっくりを傾ける。すると注ぐ直前に、横からズイと手が伸びて来た。


「貸せ」


「おや☆ じゃぁ、お言葉に甘えて」


そしてキンッと金属音を響かせ、二つのおちょこは瓜二つの姿になる。


するとお互い何の掛け声もなしに、ほぼ同時にクイッと飲み干したのだった。

 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ