銀→青2

□44
3ページ/10ページ



「翼は勝手に抜け出た罰として、今回の事件の書類全てを一人で片付けろ」


「いいな?」と言われる前に、翼はメフィストを離れて一人で立つ。そしていつものように、


『すみませんでした』


と頭を下げるのだった。


「分かったら山崎の車に乗れ。話はそれからだ」


翼の姿を見て、どこも怪我をしていないことが分かった土方。そのことに満足したのか、少しの笑顔を浮かべてその場を後にする。


翼は黙ってその後ろ姿を眺めていたが、山崎にクラクションを鳴らされ、早く来いと促される。


そして翼は、メフィストと共に抜け出た屯所へと戻ってきたのだった。




――




「で」




戻った一同は犯人を拷問するグループと、翼の話を聞くグループに別れる。今ここにいるのは、翼の話を聞くグループだ。


四角い机を囲んで、土方、近藤、沖田が、
そして向かいにメフィスト・フェレス一人が座っていた。


翼はというと、すぐ横の縁側におり、先程擦りむいた所を山崎に消毒してもらっていた。



しかし、役者も揃ってさぁ話を始めようという段階まで来たのだが、どこから話を進めていいのか分からない。


長い沈黙がその場を支配していたが、仕切り直しにと、近藤が一言「で」と述べたのだった。

 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ