銀→青2
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「翼は勝手に抜け出た罰として、今回の事件の書類全てを一人で片付けろ」
「いいな?」と言われる前に、翼はメフィストを離れて一人で立つ。そしていつものように、
『すみませんでした』
と頭を下げるのだった。
「分かったら山崎の車に乗れ。話はそれからだ」
翼の姿を見て、どこも怪我をしていないことが分かった土方。そのことに満足したのか、少しの笑顔を浮かべてその場を後にする。
翼は黙ってその後ろ姿を眺めていたが、山崎にクラクションを鳴らされ、早く来いと促される。
そして翼は、メフィストと共に抜け出た屯所へと戻ってきたのだった。
――
「で」
戻った一同は犯人を拷問するグループと、翼の話を聞くグループに別れる。今ここにいるのは、翼の話を聞くグループだ。
四角い机を囲んで、土方、近藤、沖田が、
そして向かいにメフィスト・フェレス一人が座っていた。
翼はというと、すぐ横の縁側におり、先程擦りむいた所を山崎に消毒してもらっていた。
しかし、役者も揃ってさぁ話を始めようという段階まで来たのだが、どこから話を進めていいのか分からない。
長い沈黙がその場を支配していたが、仕切り直しにと、近藤が一言「で」と述べたのだった。