銀→青2
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しかし、二人の甘い時間もそう長くは続かない。そう。翼は忘れていたのだ。自分が黙って屯所を抜け出していたことを――。
ガシャーッッッン
『!!』
突然の轟音に、翼は驚く。しかし、そうしてられるのも今の内。なぜなら……
「御用改めである! 真選組だぁ!!!!
お前らうちの副長補佐に、何して……」
真選組鬼の副長・土方十四郎が、その倉庫の中に潜り込んで来たのだった。
「……」
『……』
あまりに衝撃的なことだったため、土方も、そして翼も固まる。メフィストにいたってはどこか不満気で、割り込んで来た土方を明らかに嫌っているようだった。
「えっと……翼……」
『あ、の、副長っ、』
翼はこの状況に今にも卒倒しそうだったが、何とか説明しようと心掛ける。
そのため、土方の方へ体を回そうとメフィストから離れようする。のだが、しかし、
「翼!! 無事ですかい!?」
「翼ちゃ〜ん!!」
更にややこしくなる要素が絡んでき、翼は更に、頭を抱えるのだった。
『お、き……っ局……ちょっ!』
「「……」」
沖田と近藤が見たもの。それは、いつぞやのピエロに抱きしめられる部下の翼。
あまりの不思議な光景に、近藤は口を開いた。
「え……何、して?」
『……』
頭の回らない翼に代わり、メフィストが解説する。
しかし、それがいけなかった。
「何ってナニ、ですか☆?」
ドォーンッッッ
瞬間に、沖田のバズーカが発射され、そこは再び真っ暗な空間へと様変わりするのだった。